プール4塗布
あかねに飛火した魅了の効力が切れてからプールを満喫しだした俺たちは結局のところ午前中は何もすることができなかった。
とは言っても、何もしなくてもお腹はすくもので・・・・・・
「何か食べようか」
「そうだね」
プール内に設置されたいくつかの屋台を見て回り、なぜか海の家を連想させるような食べ物ばかり売られているなと思いながらも、それに惹かれるように焼きそばとかき氷を買った。
あかねはお好み焼きとジュースを買っていたので、
「ちょっと一口頂戴!」
とジュースを一口いただいた。
「あ・・・それ私の役目なのに~」
「どゆこと??」
笑いつつも意味が分からないと問いかける。
「そういうちょっと照れるような行為は私の役目なの!」
「そ、そうなんだ・・・」
照れるような行為とは、恋人同士でするようなことのことだろうか。
俺はジュースで口内の温度を下げたその温度がもとに戻らぬうちにかき氷を食べる。
かき氷を勢いよく食べても頭が痛くならない方法の一つに、先に口内温度を下げておくという方法がある。確かかは知らないけれど、どうやらそうすることで頭に伝わる刺激を和らげることができるそうだ。
・・・・・・確かに痛くはならなかった。
「ねえ聞いてる~」
「あ、ごめん。夢中で食べてた」
「もう。それでね、最近流行りの日焼け止めクリームを背中に塗って欲しいんだけど」
「いいよ」
焼きそばを食べながら生返事を返す俺。
「ねえ、ほんとにわかっている?」
疑いの眼差しを向けられた俺は、
「ん? わかっているって?」
と、聞き返す。
すると、あかねは再度同じことを言った。
「私に日焼け止めクリーム塗るんだよ」
「ああ、うん、わかっているよ」
俺は確かにそれを了承したはずだが、何か違う意図があったのだろうか。
「ふ~ん・・・そうなんだ。まあ、いいけど・・・・・・」
なんか腑に落ちないけど、納得してるみたいだから良しとしよう。
ということで、食べ終わったら日焼け止めクリームを塗ることになった。
「はっ・・・・ん。つめたっ・・・ちょっといきなりは冷たいって」
「ごめん、出しすぎちゃって」
「もう・・・・・・・」
ちょっとしたスペース。俺たち以外には誰もいない。あかねが寝転ぶ下にはレジャーシートが敷かれていて、俺たちの上にはパラソルが作り出す影。
周りよりちょっと暗い空間。
そこに響く淫らな水音。
あかねは上半身の水着を脱いでいる状態でうつ伏せになっている。
そう、みなまで言わずともわかっていると思うけれども日焼け止めクリームを塗っている最中なのだが、
「ちょっとあかねさん・・・」
「なにかしら、瑞樹ちゃん」
「どうしてこんなにぬるぬるしているの・・・」
「日焼け止めクリームだから」
「どうして真っ白なの」
「日焼け止めクリームだから」
「どうして、そんな卑猥な声出しているのかな」
「瑞樹ちゃんがいやらしく塗るから?」
「塗ってないわ!」
ちょっとしたコントをしてみた。最後のはちょっと違ったけれど・・・・・・・・・
「もう冗談だってば~」
あかねは笑いながら、
「次は瑞樹ちゃんの番ね」
「え、私は別に・・・」
俺はいいよと手を振ったが、
「そんなに肌白いんだから日焼けしたら痛いよ~。私が見ていた限り塗ってなさそうだし、私が塗ってあげるから遠慮しない、しない!」
焼けたら痛いと言われて押し負けた。
「そ、そこまで言うなら・・・」
あかねは水着を抑えたまま起き上がって、
「今度は瑞樹ちゃんがそこに寝転がって・・・あ、ワンピは脱いでね」
「え、別にそこまで・・・・・・」
「ほれ、さっさと脱げ~」
あかねが解放感に包まれているせいか、いつもより大胆になっている。
どうにかせねばなるまい・・・・・・・
そんなことを思っているうちに上半身丸裸にされていた。
・・・・・・・もう、どうにでもなれ・・・(泣)
「行くよ~」
「・・・ひゃっ」
思わず俺は口をふさいだ。
「冷たかった? ごめんね~。それじゃあ、私のテクをご覧あれだよ~」
「そ、そんなキャラだったっけ~。ああ~~~」
せっせと手を動かすあかね。
塗り広げられる日焼け止めクリーム。
「んっ・・・ふう・・・あう・・・きもち、いいっ」
「ふう~。こんなもんでしょ」
「あう~。どこでそんなテクを~」
俺は水着を着直しつつ、あかねに聞く。
「マッサージ師の先生に聞いたんだ~」
「うまいね~」
なんだか身体がほかほかしている感じだ。
全身の血流が良くなって、疲れが抜けたような、そんな感じ。
日焼け止めクリームをオイルマッサージするときの要領で塗られるとは思っていなかった。
危うく変な気分になるところだったよ・・・・・・なったらなったで責任取ってもらわなきゃ・・・
なんて言えるはずもない。
ということで、準備万端。
「さてどこから遊ぼうか!」
「気が早い、とは言えないな。私も遊びたいから! まずはあれから乗ろうよ」
そう言ってあかねはウオータスライダーを指さした。
「じゃ、あれから行こうか」
「うん!」
そう言って俺たちはウオータスライダーに向かって行った。




