桜田 現る
なぜかそこにいる桜田環。
それを驚愕に見る俺。
不審な表情を浮かべるあかね。
そんな状況から今回の話は始まる。
「誰ですか?」
一番最初に口を開いたのはあかねだった。
その質問は至極当然のものだ。
「僕は桜田と言うものだ。君は?」
「私は・・・・・」
あかねは聞かれて咄嗟に口ごもる。名乗られても不審さが消えたわけではないということだろう。
それは俺もすごくわかることだから、代弁するようにこう言った。
「私の親友だよ。だよね・・・?」
あかねはこくりと頷く。
「ふ~ん。それで瑞樹ちゃんはこんなところで何してるのかな。それにしゃべり方も少し変えたみたいだしね」
「それはいろいろと、まあ、あって・・・・」
俺は何と言ったものかとあたふたしながらしどろもどろに返答する。
「まあ、いいや。なんとなく状況はわかるしさ。僕がここで待たされたのもこの結末を見届けて欲しいってことなんだろうしね」
「それってどういう?」
「いやいや、それはこっちの話。それに」
と、桜田はそこまで言って俺に隣を見るよう促す。
「そっちの娘が今にも何かしてきそうだからね」
「それで、瑞樹ちゃんは桜田さんとお知り合いなのかな?」
とても怖い表情で詰め寄られて俺は少し後退りながら、
「知り合いというか、一度助けてもらったことがあるというか・・・・・・」
「いやいや、瑞樹ちゃん。僕はまだ一度たりとも君を助けてなんていないよ」
「え!?」
桜田になぜか見放された俺はさらにあかねに詰め寄られる状況になった。
「違うって言ってるけど」
「違わないよ。桜田もなんで見放すのさ」
「見放したわけじゃないけど、と神主のご登場かな」
桜田は俺たちのさらに後ろを見据えて言った。
「なぜあなたがここに」
「ちょっと頼まれごとでね」
少し張り詰めたような空気。
その中枢にいる俺とあかね。
後ろには先ほどまで俺を苦しめていたあかねのお父さん。前には桜田といった状況。
俺たちはちょうど鳥居の下にいるような位置に座し、もう結界の効果は切れているはずだけれど今動いたらやられるというような緊張感に、俺の足は自然と硬直していた。
「頼まれごとというのはあの人の、ですか?」
「その通りだけど、いまの状況をなんとなく把握した僕にはもうそれは二の次かな」
「というと?」
「僕も自分から厄介ごとに首を突っ込むようなやんちゃものではないんだけどね。どうもこれはそう言ったものではないらしい」
桜田の纏う空気が変わる。
なんというか殺気みたいな威圧感がある。
「まさかあなたもその娘のことで?」
「まあ、そうなるね」
「なぜあなたまで。あなたのような高位の人なら」
信じられないと言うようにあかねのお父さんは言う。
それを途中で遮ったのは桜田だった。
「いやいや、僕は瑞樹ちゃんに何かされたわけじゃないよ」
「ならなぜ?」
「瑞樹ちゃんの案件はまだ僕の中では解決されていないからと言えばわかるだろう。僕は最後までやり遂げることにしているからね」
「つまり、今回首を突っ込んだのは私だったということですか」
「そうだね。僕もちょっかいを出されて何もしないで見ているほどお人よしでもないさ」
「わかりました。今回は私が手を引きましょう。ですが、その娘が無害である何かを提示していただけたならにしますよ」
どうやらまだ完全には諦めていないようだった。
俺が無害である証明なんて、そんな超難しい問題解けるのだろうか。
なぜ難しいかって?
そんなのある物よりないものをないと証明することの方が難しいからに決まっているじゃないか。
「じゃあ、瑞樹ちゃん、ちょっとその娘と口づけでもしてみようか」
「なっ・・・・・・何言ってるの?」
俺は焦りながらもあかねを気遣うように横目に見る。
「わ、私は別に構わないけど」
・・・いや構うよ。
お父さんの前だよ。桜田もいるんだよ!? 二人きりじゃないんだよ~・・・・・・
いやいや、二人きりなら大丈夫とかでもないけど、でも・・・・・・・
「はいはい、じっとしててね」
そんな子供みたいな、っていつの間に!?
俺のすぐ後ろまで来ていた桜田に、両肩をがっしり掴まれた俺は身動きが取れない。
そして、俺の向きをあかねの方に向き直させて、
「ちょっと触れるだけでも大丈夫だから、やってくれるかな」
「それで瑞樹ちゃんが助かるなら」
そう言ってあかねはゆっくりと近づいてきて、少し口を突き出すようにキスをしてきた。
「ふ、うん」
なぜだか、凄く身体が熱くなってきているけれど、あかねは何ともないみたいに見える。
これが気分が高揚するという感覚だろうか。
その後、すぐにあかねは唇を離した。
俺は桜田に支えられるように立っているけれど、顔を凄く熱く感じ赤くもなっていたと思う。
あまり見られたくない。
「これで分かってもらえましたかな」
「・・・・・・いいでしょう」
どうしてだか、お父さんはすんなりとあきらめた。
この後、少ししてから桜田にそのことを聞いてみたところ、巫女であるあかねとキスをして浄化されないということは少なからず無害であるということが証明されたようなものだということだった。
この時、熱く身体が反応したのは魔力体質というものらしく、あかねが巫女だからとか、俺に魔力があるからとか、そういうことではないらしい。
この日はこれにて終了。
俺もあかねも部屋に戻るなり寝てしまって、どんな寝方をしたのかすら覚えていない。
桜田もいつも間にかいなくなっていたし。
次の日、家に帰ると心配したよと楓が迎えてくれたが、ついてきたあかねを見るなり、険悪なムードになりかけそれを必死で仲裁し続けた俺の姿がそこにはあった。
今回の話の落ちというか結末は、結局あかねが招いた事態をあかね自身が解決したということだった。発端は俺にあったのかもしれないが、そのことを言うのは野暮というものだろう。桜田も助けに来たというよりかはなにか違う表現、しりとりでいうところのパスのようなお助けキャラだったのだろうと思う。
つまり今回、こんなに俺は苦労したのに、残ったのは幼馴染キャラから彼女キャラに転生しそうなあかねと別の意味で成長を遂げた俺自身だった。
始めに、少し間が空いてしまって申し訳ないです。
結末をいくつか用意していて結局これになったのですが、最後まで迷っておりました。桜田に解決させるという感じの方向性もあったのですが、あかねをキーキャラにしたかったのでこれになりましたww
もし毎回読んでくれている方がいたら定期更新できなかったこと、本当に申し訳ないと思っています。
今回で第二部は一応完結と言う感じになります。
第二部の感想とか書いていただけたら嬉しいです。(どんな感想でもお待ちしております)




