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力差?

「ん? どうかしたのか?」

「......いや、何でもない」


 突然立ち止まった俺に、イグニスが声を掛けて来たけど、本当に何でもないしね。


 エルとトア、スフェンの所にも行かないと。


 ちょっとヴェルデに念話飛ばしてたのもあるけど。


 まあいいや。


 イグニスに合わせてゆっくりした歩調で歩いて大広間に向かった。


 ゆっくり歩いてたけど意外と直ぐ着いた。


 大広間には全員揃ってるよね。


 ヴェルデに集めといてって伝えたからね。居なかったら悪夢でも視せてあげるけどね。


 大広間に入ったらなんか俺達に視線が集まった。


 男子。こら男子。お前等の頭の中は何故『桃源郷』になっているんだい?


 お花畑ならまだわかるけどね。一体何故『桃源郷』?


 酒池肉林状態だね。夢見る事は悪くないけどね。


 ちょっと落ち着いて。


 おいこら、そこの男子。青野(あおの)綾瀬(あやせ)


 ワーテルは男だからね。女じゃないからね。


 注意してね。


 まあいいや。


「イグニス達も座って」

「あ、ああ」

「さ、イグニス」

「分かったわぁ」

「イグニスさん、こっちッス」


 イグニスを支えながら席に着く四人。


 それを見てた俺にシルニアが声を掛けた。


「お兄様は座らないんですか?」


 頷いた俺はテーブルの端に立ち、全員の顔を見る。


「お前等には、強くなってもらいたい」


 俺のいきなりな言葉にポカンとしてる皆。


 まあ、関係ないけどね。


「俺から出来る事は殆ど無いからね。ヴェルデ、ここの迷宮(ダンジョン)って使える?」

迷宮(ダンジョン)とは、《龍之秘境》の事か?」

「そっちじゃなくて、《獄地(ごくち)》の方」

「【龍王】ならまだしも、こやつ等では無理ではないか?」

「いや、お前も連れてくし、カイトもリンもサヤも居るし、シルニアとセラも、そこの【龍王】も連れてくから大丈夫でしょ」

「そうか」


 俺とヴェルデだけでポンポンと話が進んで行く事に、焦ったようにカイトが声を上げた。


「いや、ちょっと待てよ! 強くなれとか迷宮(ダンジョン)に行くだとか、理由くらい説明してくれ!」


 う~ん。察してくれたらいいのに。


 まあいいや。




――――――――――




 で、端折らず懇切丁寧に説明してあげた。


 結果? 現実逃避に走った異世界組。


 セラとシルニアを含む【龍王】は絶句。


 ヴェルデは思案顔だね。


「ネオ様。どうするのだ? 神界へ行くのか?」

「一度行くよ。その時はお前も連れてくから」


 なんか抗議しようとしてたけど黙らせてあげた。


 それは良いとして。


「お兄様。大丈夫なんですか? 今までお兄様の居た街に知り合いも居るんじゃないですか?」

(にい)の感知能力でも解らないなら、兄の知り合い、危ないんじゃない?」

「まあ、大丈夫さ。全員弱くないし半端でもないさ。簡単には死なない」


 そりゃね。無心流の剣匠に無心流三段、ギルドマスターに騎士団と近衛騎士団の団長、更に剣聖。


 今思うと世界の最高戦力の内二人に出会ってるんだよね。


 何の因果? いや、【因果撹乱体質】でもあるけどさ。


 いや、俺に因果とか運命とか云々。


 全て俺には関係が無いからね。


「な、なあ、一番強い敵がネオと同じかそれ以上に強いって、どれくらい強いんだ?」


 現実逃避から帰ってきたカイトが俺に聞いてきた。


 それに同調するように頷く一同。


 頷いてないのはヴェルデ、セラ、シルニアの三人だけ。


 ていうか、どのくらいって、表現し辛いな。


「じゃあまず、この水球がカイトの力だとするよ」


 そう言って半径五センチ程の水球を出して俺の前を漂わせる。


 頷く一同。


「で、こっちがイグニスの力だとする」


 そうして半径五十センチ程の水球を出す。


「ちょ、ちょっと待てよ! 法幢(ほうどう)とそこの赤い奴に、そこまで差があるのか!?」


 焦ったように声を出したのは蓬田(あいだ)宗助(そうすけ)だね。


 結構実力あるよ。それに覚悟がある奴だからね。


「じゃ、じゃあさ! 神堂(しんどう)はどうなんだ!」


 頷いた俺にシンドウはどうかを聞いてきた。


 俺は無言で半径十センチ程の水球を出した。


「まあ、これは純粋な力を表してるだけだから、技術次第では勝てるかもよ?」


 唖然としたまま座りなおす蓬田。


 俺はその様子を眺めながらシンドウとカイトの水球を消して、イグニスの水球を半径一センチ程に縮めて、半径百センチ程の水球を出した。


「コレ、誰と誰の比較だよ?」


 伊藤(いとう)康太(こうた)が半眼になって聞いてきた。


「イグニスがこっちで、ヴェルデがこっち」


 半径一センチ程の水球がイグニスのモノで、半径百センチ程の水球がヴェルデのモノだと示しながら説明してあげた。


 それを見て【龍王】達が満足気に頷いて、異世界組が何かを諦めた。


「まあ、【龍王】と龍神だからね。力の差があって当然なの」


 異世界組が心の中で『力の差があるってレベルじゃないよね』とか突っ込んでるけど知らないよ。


「で、この流れならネオはソコの龍神の百倍くらい強いワケ?」


 伊藤が言い出して俺とヴェルデは顔を合わせた。


 面倒臭くなって水球を消してヴェルデから顔を逸らした。


「ネオ様は我と比べ物にならぬ程強い。例えばだ。我が[龍神化]して、我の全てを振り絞ってブレスを放ったとしても、傷一つ付けるどころか当たる事すらないだろうな」


 まあ、[無効化]したり[略奪(アルパガス)]を使ったり[万象終焉]を使ったり、同じくブレスで相殺したり、こんなことしなくても腕を振るだけで消滅させる事も出来るし、やりようは幾らでもある。


 至極当然だとばかりに言うヴェルデに、それに頷くセラとシルニア。


 他の【龍王】は何処か納得気になっていて、異世界組は何か悟りを開いたような(思考放棄とも言う)状態になっている。


「理解してくれたなら、明日から此処の迷宮(ダンジョン)である《獄地(ごくち)》に行くから」


 理解してなくても連れてくけどね。


 理不尽? 知らないよ。


 俺には関係ないし。


 死にたかったら行かなければいいじゃん。


 俺は無言になってる異世界組を見ながら、心の中で黒い笑みを浮かべた。




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