《獄地》
いやさ、実際この空間創ったの誰なの? 回答:世界
と、まあ阿保な事を考えてるけどさ、《獄地》の中ってそれ程凄いんだよね。
楽しみとして[創世終世完解]で視なかったけどさ、此処迄の亜空間を自然創造してたとは。
これ、最早異空間になりかけてるんだけど、良いのかな? いや、どっちでもいいんだけどね。この世界の人達が困らないかな~。みたいな?
一般常識(笑)で考えたらそうじゃない?
まあいいや。
「昨日さ、納得したなら《獄地》へ連れてくって言ってなかったか? お前。俺達の中の殆どが納得してないんだけど?」
半眼でそんな事を宣うイトウと、それに同調するように頷く後ろの異世界組。
「俺、納得したら、なんて言ってないよ? 理解したら、とは言ったけどね」
性格悪い? 知らないよ。
それにこいつ等が死なない様に強くして上げるから、どっちかって言うと優しいんじゃない? そんな事ないかな?
俺の言葉を聞いて絶句している異世界組を尻目に、ヴェルデが話し掛けて来た。
「これからどうするのだ?」
「先ずは中央まで行こうか」
そう言った俺に合わせてヴェルデが後ろの異世界組と【龍王】に準備しろと伝えてる。
俺はその間に[世界秘宝庫]から刀を二本取り出して腰に差す。
見た目だけ見たら唯の黒刀と白刀だけどね。
これ、俺の本当の武器って訳じゃないからね? 間違えないでよ?
歩き出した俺と、追随する皆。《獄地》に入って来て最初に出たのが森林エリアだったからピクニックみたいな感じ。
まあ、それは俺だけの感覚かも知れないよね。
だって、後ろの異世界組のレベルの低い感知系スキルでも解る程強いのがゴロゴロ居るからね。
現に感知系スキルを持っている奴は表情が硬くなってるし、【龍王】も初めてこの迷宮に入ったから表情を険しくさせてるね。
流石にヴェルデは普通だけど。
因みに、俺の本当の武器は種族によって違うからね。
そんなこんなで数分間歩いたところで気配を消した黒い猿が、両側の木から飛び掛かってきた。数は四。
俺に攻撃は当たらないし、に何より避ける理由が無いという訳で歩いてるんだけど、異世界組はシンドウとカイト、サヤとリン以外気付いてない。慌ててるのこの四人だけだし。
で、動いたのは三人。
左から飛び掛かってきた猿二匹をヴェルデが吹き飛ばし、右から飛び掛かってきた猿二匹をシルニアとセラが吹き飛ばした。
ヴェルデが吹き飛ばした方は満身創痍って感じだけど、シルニアとセラが吹き飛ばした方はピンピンしてる。
って言うか、野生の勘って凄いね。
俺を強者と感じて襲ったようだけど、まあ強者としか感じなかったんならいいや。
「この猿、硬いっ」
「効いていません」
そりゃね。賢獄猿は隠密行動に長けたAランクの魔物。その毛は剛毛、鋼毛と言っていい程に硬いからね。
「シルニア。セラ。いいから」
「はい」
「分かった」
シルニアとセラを下がらせて、黒刀の方を抜く。
降ろした刀が地面に着かない様にしながら歩いて猿に近付いて行くと、猿の方から飛び掛かってきた。
けど、彼方さんは俺に飛び掛かる途中でバランスを崩して、俺の後方へゴロゴロと転がって行った。
魔石を残して光の粒子になって消えた猿に、唖然と目を向ける異世界組。
「ほら。腑抜けてないで早く行くよ。中央までニ十キロはあるんだから」
納刀しながら異世界組に声を掛けて歩き始める。
魔石? 既に回収したよ? [世界秘宝庫]に突っ込んだ。
因みに、俺が今使っている黒刀は〈妖刀 『血吸』〉。
対象に刃が触れれば、刃が一瞬にして対象の血液を吸い尽くす。
因みに、今は乱れ刃丁子の刃が赫色になってるよ。
切れ味が上がってるし、血刃を飛ばす事も出来るよ。
そんな事してる暇あったらさっさと中央に行こうか。
「今から走っていくよ。中央は遠いからね。時間を掛けるのも良くないし」
「いや体力が持たないからな!!」
「大丈夫。回復させながら行くから」
「魔物はどうすんだよ!!」
「何とかしてね。じゃないと此処に連れて来た意味無いし。じゃあ、走るからついて来てね。走らなくてもいいけど、どうなっても知らないよ?」
しっかりと説得してから走り出した。
ちゃんと速度は合わせてるから大丈夫。
しっかりと回復も掛けながら走ってるし、これなら直ぐに着くかな。
~おまけ?~
一般的に知られている《獄地》の構造。
百キロ四方の広大な広さを持つ一層構造。迷宮の中央に深さ十メートル、直径五百メートルの窪地が存在している。その場所を中心として環境が四分割されており、右上から時計回りに、森林、砂漠、火山、凍土となっている。
出現する魔物は最低Aランクであり、人を拒む場所である。
入るというのであれば生きて戻る事を諦めろ。欲をかくな。そして覚悟しろ。彼の地は死へ誘う場所である。
引用元『迷宮総集編 3章 知られざる地 189ページ 地獄より戻りし奇跡の生還者』




