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二十六話 裏切り自傷
▲極立ぴかリ▲
もう手は繋がなくても大丈夫です。
どこにも暴漢は居ませんし、そもそも私は普通に歩けますから。
しかし、私はまだ離したくない。
これを離したら、もう私は二度と、セセギ君の体に触れることは不可能だからです。
セセギ君は、チラリと私が握っている手を見据えます。
あぁ、やだ、離さないで、と思ったところで、前方にアマネを発見しました。
故に、私は叫んだのです。
「アマネ!」と……まるで不意に見つけ、声を出したかのようにです。
案の定、セセギ君はアマネに気を取られ、私と手を繋いでいることなんか、頭の外へ消えます。
しかし、その悪行は許されない行為なのか、大通りを埋め尽くして疾走していた車は忽然と消え失せ、私達を招き入れるかのように、道が開けました。
セセギ君は躊躇せずに足を踏み入れます。
わずか十秒にも満たない時間のために、私は友達を裏切り、自分を傷付ける、人間です。
「アマネッ!」
行かないでください。しかし、セセギ君は私の手を振り払うと、羽が生えたかのように駆けだします。




