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二十五話 雪

 ▲大正儀セセラギ▲


 カラスミから脱出すると、大通りを挟んで住宅街が広がっていた。真横に住宅街が? と驚いたけど、大通りが天まで聳える壁を思わせるかのように広がり、ビルが隙間を埋め尽くすように立ち並んでいるので、カラスミは隔離されていた。遮断されている。

 リンは、まだ手を握っていた。少し痛いくらいに。さっき、リンを襲おうと周りの奴らが狂い始めたから、逃げるために引きずるように掴んでしまったけど、離してくれない。俺から、離せよ、と言うのもなんだかな、どうしよう。

 悩んでいると、「アマネ!」リンは声を上げた。刹那でその視線を追うと、向かいの住宅街の入口に、アマネが入っていく。

 その途端、左右から爆走していた車の存在が消えた。嘘みたいな静寂が広がる。俺はリンと共に、大通りを突っ切っていく。

 一歩進むたびに、血が足元から逆流していく気分だった。アマネの行先がカラスミの中には無かったと知り、安堵したはずなのに、クレナの言葉が、頭の中から消えない。アマネのリアルの姿、ってなんだよ。

糞、クレナのことだから、また俺をおちょくる発言をした可能性が高い。が、奴のもう嘘は言わないという言葉には、妙な違和感がある……。


 俺達が大通りを駆け抜けた途端、激流のように背後で車が走り抜けていく。もう、戻れない。進むしかない。進むんだろ! アマネを追ってここまで来たんだ。今更、逃げられるかよッ。何度目かわからない覚悟を胸に刻み込んでいると、指先から小さな振動が伝わってくる。リンも、震えていた。指は、雪のように冷たい。

 高級住宅街で、我が家とは比べるのも失礼なくらい巨大な一軒家が綺麗に整頓されたみたいに並んでいた。カラスミとはまた違う、入り辛さを感じる。


 ――でも、そこにアマネは居た。

「アマネッ!」



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