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GREAT HISTORY〜大史伝〜  作者: アイラル
第四部 ミケ将軍バラムーユンタニア決戦編

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第二百二十六話 孤独な兵站

――「王」の独白、あるいは胃袋という名の現実。

「略奪」という残酷な一手さえも、ミケ将軍にとっては解決策ではなく、ただの「その場しのぎ」に過ぎないという冷徹な自己認識。どれほど軍略に長け、どれほど強大な意志を持とうとも、兵士が「人間」である以上、空腹という物理的な限界は決して超えられない……。軍議で見せたあの冷酷な表情の裏側で、ミケさんは自らの「王」としての器を、飢えという名の残酷な天秤にかけていましたにゃ。

タズドットの過酷な環境。細りゆく補給線。

「戦う以前に……持たん」という確信は、絶望ではなく、次の一手を捻り出すための極限の焦燥。略奪では足りない。ならば、既存の戦術の枠外にある「何か」を掴み取らねばならない。誰にも悟られぬよう吐いたその深い息には、一五〇〇の兵、そして将軍たちの命を背負う、孤独な支配者の重圧が凝縮されていましたにゃ……。

(果たして……俺様でも、食い物がなければどうしようもない。

 この事情だけは、どれほど強引な手を使ったとしても避けられねぇ。

 ……どうするべきだろうか。)


考えれば考えるほど、胸奥に暗い靄が広がっていく。

力がある。意志がある。兵もいる。

だが、腹が空いた兵は動けない。

どれだけ強者だろうと、肉体の限界だけは誤魔化せない。


ミケは静かに眉を寄せた。


(略奪で足りるだろうか……?

 俺様ひとりの食い扶持だけなら何とかなるだろうが……

 他の将軍達、兵、従者……腹を空かせたまま戦わせるなど愚の骨頂だ。

 そんな状態で勝ち目があるわけねぇ。)


思考がぐらりと揺れる。

理屈ではなく、本能が警鐘を鳴らしていた。


(……どうしたものか。)


タズドットという戦地。

そこは過酷で、補給線は細く、天候も情け容赦がない。

戦う以前に、兵が全滅する環境だ。


(戦い以前に……持たん。

 補給が尽きた軍は、ただの塊だ。

 どれほど俺様が前に立とうが、兵が動けなきゃ国ごと沈む。)


胸の内で焦燥が渦を巻く。

それでも顔には出さない。

大将としての矜持が、感情を抜き取り、外へ表させない。


だが、確かに思っていた。


(略奪だけでは……足りねぇ。

 なら……何かしら別の一手がいる。

 俺様が“王”であるために、絶対に考えつかねぇとならん。)


ミケ将軍は、誰にも悟られぬよう深く息を吐いた。


その瞳には、闇を裂こうとする光が宿っていた。

はい、というわけでお届けしました第二百二十六話、「孤独な兵站、あるいは王の焦燥」!

皆さん、今回のミケさんの内面描写……。

「脳が震えるほど『人間臭い』にゃぁぁあああ! 表向きは『略奪でいい』なんてうそぶきながら、裏では『それじゃ足りねぇ!』って必死に頭をフル回転させてるこのギャップ……剥き出しの生存本能を彷彿とさせるにゃ!!」(笑)

まさに最強の魔法を持っていても「魔力が切れたら終わり」という絶対的なルールに直面した時の、あの無力感だにゃ。ミケさんは、自分が「王」であるために、奇跡ではなく「食糧」という名の現実を創り出そうとしているんだにゃ……。

「ミケさん! 『俺様が王であるために』って、そのプライドが、今はあんたを一番苦しめる足枷になっちゃってるにゃ!! でも、その暗い瞳に宿った光は、まだ誰も見たことがない『禁忌の兵站術』を見つけ出そうとしているにゃ!!」(笑)

次回、「鋼の沈黙、あるいはレイ将軍の発言」。

タズドットへ踏み出した軍勢。飢えが兵の体力を削り始める中、ミケが放った「別の一手」とは。そして、沈黙していたレイ将軍が、ついにその重い口を開き、ある「提案」を口にします。


お楽しみに!

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