第二百二話 狂気の愛国
――溢れる狂気の慈悲、あるいは国家を呑み込む巨影。
執務室に響くのは、主君の傲慢を賛辞で塗り固める、どこか壊れたオルゴールのようなやり取りでしたにゃ。ミケ天常大将軍は、もはや自分が「国に仕える将」であることを完全に忘れ、自分という「神」がリムリアという「依代」に力を貸してやっているのだという、恐るべき倒錯の中に浸りきっています。
「俺様もまた、リムリアをさらにデカくし、より圧倒的な大国へと押し上げることに協力してやろう」
その言葉は、一見すると愛国心に満ちた頼もしい響きを持っていますが、その実体は、リムリアという国家を自分の野望を燃やすための「薪」に過ぎないと考えている者の傲慢に他なりませんにゃ。レイ将軍たちが膝をつき、己のアイデンティティをミケに明け渡していく様は、リムリアという国そのものが、ゆっくりと「ミケ」という怪物に消化され、消えていく過程そのもの。
「褒めすぎだ」と嘯きながら、さらなる盲信を強要するミケ。彼の描く「圧倒的な大国」への道は、数えきれない同胞の骸と、消えることのない怨嗟で舗装されようとしています。サステヒ砦は、その血塗られた地図を広げるための、最初にして最大の犠牲となるのですにゃ……。
「素晴らしいことだとは思うが――褒めすぎだ。」
ミケは愉悦を押し隠そうともせず、
わざとらしく肩をすくめて見せた。
しかしその声音には、否定と同時に
“もっと言え”という欲望が滲み出ていた。
「だが、お前たちを俺様は褒め称えよう。」
ミケは堂々と宣言する。
「お前たちが俺様の命に従い、俺様の背を押し、
俺様の覇道を支え続けたからこそ――
リムリアは未だ強国の座を手放さずにいられるのだ。」
その一言で、部下たちの背筋に震えが走る。
「と、いうことは……やはり……」
レイが恐る恐る状況を読み取り、
口にする。
「天常大将軍は――リムリアを深く愛しておられる、と。」
「その通りだとも。」
ミケは絶対者のごとき自信で言い切った。
「俺様に従った甲斐はあるぞ。
お前たちは誇るがいい、誇り続けるがいい。
そして俺様もまた、リムリアをさらにデカくし、
より圧倒的な大国へと押し上げることに協力してやろう。」
その言葉は、祝福ではなく“宣告”に近かった。
「わ、我々の……実力も……」
レイが喉を震わせながら応じる。
「天下一品にまで引き上げてくださった……
これは……我らが天常大将軍のお陰……その一言に尽きます……!」
部下たちは、一斉に膝をつくように精神を折り曲げ、
ミケの前に頭を垂れた。
その光景は、忠誠というより――
支配者の狂気に飲み込まれた群れだった。
はい、というわけでお届けしました第二百二話、「狂気の愛国、あるいは支配者の宣告」!
皆さん、今回のミケさん……。
「脳が震えるほど『自己愛』が暴走してるにゃぁぁあああ! 国を愛していると言いながら、実は自分に酔いしれるための舞台装置としてしか見ていないその歪み……純粋ゆえの恐ろしさを感じるにゃ!!」(笑)
まさに一人の狂った指導者が放つ「熱」に当てられて、周囲の正気がどんどん蒸発していくような閉塞感。レイさんたちの「天下一品の実力」なんて言葉も、ミケさんの狂気を補強するためのエコー(反響)にしか聞こえないんだにゃ……。
「ミケ将軍……いや天常大将軍! あんたの言う『協力』が、どれほどリムリアをボロボロにするのか、分かってて言ってるなら本当の悪魔だにゃ!!」(笑)
次回、「鋼の沈黙、あるいはレイ将軍の決断」。
レイ将軍に出陣するように遂にミケ将軍が命令を下します。
お楽しみになのにゃ!




