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GREAT HISTORY〜大史伝〜  作者: アイラル
第四部 ミケ将軍バラムーユンタニア決戦編

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208/214

第二百話 黄金の鎧

――逆転した真理、あるいは「天常」という名の完璧なる妄執。

執務室を支配するのは、事実を都合よく濾過ろかし、己への賛辞へと変換する「狂った翻訳機」のような思考回路でしたにゃ。黄金同盟という国際的な防衛システム。それが弱小国を保護しているという現実は、ミケ天常大将軍の脳内では「自分という怪物を封じ込めるための脆弱な檻」へと完全に書き換えられてしまいましたにゃ。

「俺様がいる前提の秩序だと奴らは思っているのだ」

その言葉には、もはや論理的な対話の余地はありません。ミケにとって、世界が平和を維持しているのは「自分を怒らせないため」であり、軍隊が動かないのは「自分を恐れているから」。レイ将軍がその妄言に拍車をかけ、歪んだ解釈を正当化するほどに、ミケの全能感は現実から遊離し、手の付けられない「絶対的真理」へと昇華していきますにゃ。

黄金同盟という鎧。本来、バツネを破滅から守っているはずのその鎧を、ミケは「自分に手出しできない臆病者の隠れ蓑」だと断じました。この恐るべき主客転倒こそが、彼をサステヒ砦という破滅の崖っぷちへと突き動かすガソリンとなっているのですにゃ……。

「――俺様の小言だがな。」


 ミケ将軍は、地図の上に刻まれた線をなぞりながら、

 世界の運命を語る王のように呟いた。


「黄金同盟が存在する以上、

 バツネに対する“露骨な軍事攻撃”は、どの国も躊躇する。

 理由はただ一つ――」


 彼は指先で、黄金同盟の紋章が記された部分をトンッと叩いた。


「世界の秩序が、黄金同盟によって守られているからだ。」


 その事実そのものは、正しい。

 世界の国々は、黄金同盟の監視と制裁を恐れ、

 安易な侵略を禁じられている。


 しかし――


 ミケの口から出る次の言葉は、

 事実の延長線ではなく、歪んだ解釈だった。


「だがな、これは“俺様が強すぎるから”という事実を、

 世界が見ないようにしているに過ぎん。」


 レイは肩を震わせながら必死に合わせる。


「ま、まさしく……!

 黄金同盟の規約そのものが、

 天常大将軍様という存在を恐れて形作られたようなもの……!」


 ミケは満足げに頷く。


「そうだとも。

 黄金同盟が存在していなければ、

 奴らはとうに俺様に恐れをなして土下座していたはずだ。」


 本当は逆である。

 黄金同盟があるから、

 バツネのような地方都市国家は守られているに過ぎない。


 だがミケの中では、

 世界の順序は完全に逆転していた。


「世界に平和があり、

 戦争が抑制され、

 各国が均衡しているのも――

 “俺様がいる前提の秩序”だと奴らは思っているのだ。」


 本来、黄金同盟は国際調停と同盟関係の維持のために存在している。

 ミケの存在など、秩序の範疇に欠片ほども関係がない。


 しかしミケ本人は、それを理解する気が毛頭ない。


「なるほど……世界が天常大将軍様を恐れているが故、

 黄金同盟という“鎧”を着なければ生きていけないのですね。」


「そういうことだ。」


 ミケは、合点がいったという顔をする。


「俺様の実力が桁違いである以上、

 本来であれば“黄金同盟”など不要だ。

 だが奴らは弱い。弱すぎる。

 俺様が相手になった瞬間、

 まとめて沈むのを恐れている。」


 その上で、ミケは鼻で笑った。


「スタンなどは特にそうだ。

 家柄がデカいだけで存続している愚物。

 黄金同盟がなければ、とっくに俺様の足元に転がっている。」


 ミケが述べるのは、

 世界の秩序ではなく、“ミケが世界の中心である”という錯覚そのもの。


 レイは深く、深く頷く。


「……確かに。

 黄金同盟がバツネを攻められぬのは“規約”ゆえですが、

 その規約があるのは、

 天常大将軍様という“異常な存在”から身を守るためにございます。」


「そうだとも!

 俺様がいるからこそ、

 黄金同盟は俺様に手出しをせぬし、

 他国もバツネに手出しをせぬ!」


 本当は、


黄金同盟があるからミケに手出ししない

=ミケの強さとは全く関係ない


 のだが――

 ミケの世界では、

 それは見事に逆転していた。

開始二百話記念です、能力値を載せておきました。


シモン・グランストレーム将軍


統率74

武力79

知力58

政治60


狂乱の魔法使い

シモン・グランストレーム将軍は、トストの 地に降臨 した 、終焉を招く「狂気の灯火 」であった 。


ウッレ・セーゲルストローレ副将軍


統率54

武力53

知力51

政治45


現実を知る副官

ウッレ・セーゲルストローレ副将軍は、崩壊 するタズドット軍の中で 、唯一 「 勝てない 」 という冷徹な真実を直視し続けた 「現実の代弁者」 であった 。


ヘンリク・リリェフォッシュ地方副官


統率49

武力50

知力42

政治39


無策の末路

ヘンリク・リリェフォッシュ地方副官は、凡庸なる能力の全てが 、乱世の戦場の残酷さを前にして 、 何の意味もなさなかった 「無力の象徴」である 。


諜報鬼


統率44

武力73

知力86

政治75


恐るべき洗脳家

その諜報網でいく人ものミケ軍を殺害した恐るべき殺戮鬼にして、能力を使って人々を洗脳することも可能な怪物


オスカー・ハリア


統率77

武力64

知力81

政治73


静かなる計算士

乱世を渡る将としては珍しく、彼の歩みには常に“沈黙”が寄り添っていた。

声を荒らげることも、無駄に剣を振るうこともない。だが、一度戦が始まれば、

その静寂こそが敵軍を恐れさせる“前触れ”となる。



ダーグ・ソレンスタム地方官


統率60

武力48

知力44

政治49


荒れ地を守る“無名の火”

大国の将たちの名が天下を賑わせるその陰で、

人知れず国境の荒地を守り続ける男がいる。

ダーグ・ソレンスタム──地方官としての名は地味だが、

その働きは決して侮れぬ。


イェーオリ・レンクヴィスト


統率61

武力60

知力59

政治55


平凡なる中堅

イェーオリ・レンクヴィストは、

突出した才能を持たぬ代わりに、

どんな局面でも崩れない堅牢さを誇る男である。


ヴェロニカ・ハリア


統率64

武力58

知力75

政治73


ハリア家の姫


スタン国王の従兄妹にして、オスカーの従兄妹、愛されており、城の外のことはよく知らないらしい


ヴィニアミン・ゴーシュレフ外務官

統率42

武力32

知力68

政治73


国と国の狭間を渡る“薄氷の外交官”


戦場では名は残さずとも、

彼が交渉の席に着けば、国の運命すら揺らぐ。

ヴィニアミン・ゴーシュレフは、

剣ではなく言葉を武器に生きる“外務官”であり、

その歩む道は、常に薄氷の上だ。


ルードリィフ・アゲエンコフ国王


統率88

武力84

知力85

政治73


バラムーユンタニアの国王


雷鳴のように戦場を駆け、

山岳のように国を支える──

それがバラムーユンタニア王 ルードリィフ の姿である。


はい、というわけでお届けしました第二百話、「逆転の心理、あるいは黄金の鎧」!

皆さん、今回のミケさん……。

「脳が震えるほど『自己中心的』だにゃぁぁあああ! 世界の平和すら自分の手柄にしちゃうその解釈の力……愚かすぎるにゃあ」(笑)

どれほど事実を突きつけられても、自分の信じたい現実だけを「真実」のように上書きしてしまう強者の狂気。レイさんがそれに調子を合わせれば合わせるほど、ミケさんの「正解」は固定され、もう誰の言葉も届かない領域へ行っちゃってるんだにゃ……。

「ミケ将軍……いや天常大将軍! その『黄金同盟は俺を恐れている』っていう勘違い、サステヒの壁にぶつかった時にどう崩れるのか……怖くて見てられないにゃ!!」(笑)

次回、「鋼の沈黙、あるいはレイ将軍の決断」。

ミケ将軍とレイ将軍の狂気の語り合いはまだまだ続きます


お楽しみになのにゃ!

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