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GREAT HISTORY〜大史伝〜  作者: アイラル
第四部 ミケ将軍バラムーユンタニア決戦編

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207/214

第百九十九話 破壊の愉悦

――安寧という名の檻を喰らう、狂気の神。

ミケ天常大将軍の指先がなぞったのは、ただの国境線ではありませんでしたにゃ。それは、世界が数多の血を流した末に築き上げた「平和」という名の薄氷。黄金同盟という巨大な秩序がもたらす安定を、彼は感謝するどころか、最高の「破壊対象」として見定めていましたにゃ。

「黄金同盟が安定しているからこそ、俺様は安心して“ぶち壊せる”というわけだ」

その言葉に宿る、吐き気を催すほどの全能感。ミケにとって平和とは守るべき宝ではなく、壊した時の手応えを保証するための「強度」に過ぎませんにゃ。世界が積み上げた秩序を、巨大な砂の城のように踏みにじる。その瞬間に上がる悲鳴こそが、彼が求める「天常」の証明。レイ将軍が震えながらも縋り付くその背中は、もはや一国の将軍ではなく、文明そのものを終わらせるための「終わりの始まり」を体現していましたにゃ……。

 ミケ将軍は、地図の上に広がる巨大国家――

 バラムーユンタニア の名に指を落とした。


 その指先には、まるで敵国の心臓を抉り出すかのような、

 不気味な圧力が宿っていた。


「ここだ……ここが、全ての“始まり”であり“終わり”だ。」


 淡々と語る声は冷たい。

 しかし、ひどく楽しげでもあった。


「バラムーユンタニアが存在している限り――

 しいては、そいつらが主導する黄金同盟が盤石である限り――」


 ミケの指が、黄金同盟加盟国の境界線をなぞる。

 その軌跡は、世界の秩序を切り裂くかのよう。


「この世界は“平和”とやらを維持し続ける。

 秩序と安定という名の檻が、各国を縛り続ける。

 争いは最小限、戦乱は抑制され、大規模戦は――」


 言葉を区切り、ミケは薄く笑った。


「“二度と起きん”。」


 レイは息を詰まらせた。

 しかし逆らうという選択肢など持ち合わせていない。


「……ま、まさしくその通りにございます。」


「そうだとも。」


 ミケは満足げに頷く。


「秩序だの安定だの……くだらん。

 だが、奴らが存在するおかげで、

 この世界は“滅びきらず”に済んでいるのも事実だ。

 皮肉なことに――黄金同盟という檻があるからこそ、

 平凡な国どもは命乞いの必要すら感じずに済む。」


 机に置かれた拳が、ゴリッと音を立てる。


「実に、世界はよく出来ておる。

 そして……実に気に食わん。」


 レイが恐る恐る口を開く。


「では、いまの天常大将軍にとって、不利益というわけでは……?」


「フン。」


 ミケは嗤う。

 怒りでも嘲りでもない。

 “勝者の余裕”だけがそこにあった。


「不利益ではない。

 むしろ……」


 ゆっくりと顔を上げ、

 不気味な光を宿した瞳で部下を見つめる。


「黄金同盟が安定しているからこそ、

 俺様は安心して“ぶち壊せる”というわけだ。」


 レイは震えた。

 だが、従うしかなかった。

はい、というわけでお届けしました第百九十九話、「秩序の檻、あるいは破壊の愉悦」!

皆さん、今回のミケさん……。

「脳が震えるほど『ラスボス』だにゃぁぁあああ! 平和があるからこそ壊しがいがあるなんて、悪人でもなかなか言えない、純粋で淀んだ邪悪さを感じるにゃ!!」(笑)

まさに数百年の安寧を保ってきた結界や誓約を、指先ひとつで台無しにしようとする絶望の化身。ミケさんは今、世界が自分を止めてくれることすら期待していない。ただ、自分の力がどれだけ世界を絶望させられるか、その実験を心底楽しんでいるんだにゃ……。

「ミケ将軍……いや天常大将軍! あんたのその指先が、何百万人の平和を指一本で弾き飛ばそうとしてるにゃ!! 恐ろしすぎるにゃ!!」(笑)

次回、「鋼の沈黙、あるいはレイ将軍の決断」。

ミケ将軍とレイ将軍の語り合いは終わらない、ミケ将軍の狂気の発言は終わることを知らないのであった。


お楽しみに!

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