45章 勇者と魔王 13
『オーヴァーロード』を倒して、次のボスを倒しに行く。
ボス部屋までの廊下では、ザコモンスターとして、青い肌のイケメン貴族風吸血鬼が大量に出てきた。
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エルダーヴァンパイア Aランクモンスター
吸血鬼の中でも特に強い力を持つ者たち。始祖直系の血族。
格闘術に極めて優れ、また強い魅了の力を持っている。
吸血することで対象を己の眷属とすることができる。
吸血鬼特有の弱点は一切ないが、聖属性には多少弱い。
特性
打撃耐性 斬撃耐性 刺突耐性 魔法耐性
スキル
吸血 魅了 変化 上級格闘術 飛行
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これも異世界では見たことない連中だ。
そもそも吸血鬼は基本すべてボス格なので、ザコモンスターとして大量に出てくるなんてありえない。そう考えるととんでもない凶悪さである。
「カーミラ、お前の御先祖様だぞ」
「あれが吸血鬼なのぉ? 言われてみればそんな感じだけど、でも先生の方がはるかにいい男よねぇ」
「いや、そうか……?」
俺より背は高いし金髪だしすごいハンサムだしいかにも女子受けしそうな見た目なんだがなあ。まあ赤い瞳と口元の牙がちょっとアレだけど。
「先生、普通に戦っていいんでしょうか?」
イケメンモンスターにまったく興味なさそうに、新良が真面目な顔で聞いてくる。
見ると青奥寺とか双党とか、雨乃嬢とか絢斗とか三留間さんとか全員誰も騒がない。それはそれでちょっと殺伐としてませんかね。まあ勇者パーティのメンバーとしては頼もしいけど。
「『魅了』を使ってくるみたいだが、状態異常耐性のアクセサリーをつけてるから大丈夫だろう。後は普通に格闘だけみたいだが、血を吸われるのだけは避けるように」
「やっぱり血を吸うんですね」
エルダーヴァンパイアは50人くらいいるが、全員同じ顔なのが不気味なのと同時に、やっぱりダンジョンのモンスターなんだと思わせる。
とりあえず目を赤く光らせて突っ込んでくる青い顔のイケメン吸血鬼たち。
しかし即座に放たれる500の『ジャッジメントレイ』の前に次々と穴だらけになって消えていく。さすがアンドロイド兵はイケメン型モンスター相手でも一切の躊躇がない。
辛うじて接近してきたエルダーヴァンパイアも青奥寺たちにあっさり斬り捨てられている。しかしAランクモンスターって特Ⅱ型相当だったはずなんだけどなあ。まあAランクにも幅があるし、ザコで出てくるからにはその中では最下層のモンスター扱いなんだろうけど、それにしても驚きである。
何度かイケメンクローンバンパイア軍団を倒していくと、ボス部屋の前に着く。これで4つ目だがもはや作業感すら漂ってくる。
願わくばこれが最後でありますようにと念じながら扉を開ける。
だだっ広い部屋の奥に立っているのは、なんと女吸血鬼だった。
銀色の超ロングヘアをオールバックにした、赤い瞳の超絶美人である。少し尖った耳、真紅のルージュを引いたような唇からはしっかり牙が覗いている。服は漆黒のドレスで、細身なのに出るところがしっかり出た身体にピッタリ張り付いている。
誰もが見ただけで魅了されそうな美女、だがその顔つきはちょっとよろしくない。いかにも超高慢ですべてを見下してますよみたいな、典型的な悪女フェイスなのである。
その姿を見て、メンバーはなぜか全員複雑そうな顔をした。中でもウザい反応をしたのはリーララだ。
「うわ~、ついに美人モンスターが出ちゃったよ。おじさん先生の大好物でしょ、あれ」
「お前、俺のことずっと小さい子好きとか言ってなかったか?」
「セッソウなしって言ってるだけだし。で、あれもハーレムに入れるわけ?」
「ダンジョンモンスターを仲間にできるわけないだろ」
「ダンジョンモンスターじゃなければ狙うんだ」
「そういう意味じゃないわ」
なんか戦う前に疲れてしまいそうだ。
青奥寺たちもなぜか俺の方をチラチラ見ているんだが、まさか皆俺があんなモンスターを相手にすると思ってるんだろうか。
「ねぇ先生、あれって吸血鬼の女王様みたいなやつなのかしらぁ」
「ちょっと待ってろ」
カーミラに答えて『アナライズ』。
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始祖カーミラ Sランクモンスター
ヴァンパイア族の最上位モンスター。
極めて強い精神干渉能力を持ち、植物ですらその影響下に置くと言われている。
術にかかったものを手足のように自由に扱うことができる。
不死に近い強力な再生能力を持ち、格闘能力にも優れている。
わずかながら聖属性には弱い。
特性
強物理耐性 強魔法耐性 状態異常耐性
スキル
吸血 精神干渉 魔光眼 上級格闘術 無限爪 飛行 超再生 眷属化
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「吸血鬼の始祖って設定みたいだな。名前はカーミラだそうだ」
「ええ? それ本当なのぉ? なんか複雑な気持ちになるわねぇ」
「俺の『アナライズ』だとそうなってる。しかし名前がそのままモンスター名になってるのは珍しいかもしれないな。ちなみに超強力な精神干渉を行ってくるらしい」
「ちょっと怖いわねぇ。一応『アンチメンタルマジック』の魔法をかけておくわぁ」
「頼むわ」
カーミラが杖を掲げて、メンバー全員に精神魔法にかかりにくくする強化魔法『アンチメンタルマジック』をかけてくれる。しかし初めてかけてもらったが、感覚からすると結構強力な効果がありそうだ。
「さて、こいつもちょっとマズそうな相手なんで俺一人で行ってくるわ」
と言って行こうとすると、青奥寺に、
「先生、倒しに行くんですよね」
と妙な質問をされた。
「当然だろ」
「でも、先生だと変な方向に行きそうな気がしますけど」
「いくら俺が寂しい男でも、モンスターを口説くほど落ちぶれてないぞ」
軽く冗談を言って和ませようとしただけなのに、なぜか「怪しい」みたいな顔を全員にされてしまった。リーララもそうだが、なんで俺をそういう人間にしたがるんだろうか。
【告知】
『勇者先生』7巻が6月20日発売になります。
表紙は美少女バージョンのルカラスさんです。
勇者ハーレム筆頭を自認する彼女の活躍と、謎の敵『応魔』との戦いが繰り広げられる7巻、よろしくお願いいたします。




