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第5話:いきなりの空回り編

④ 【第四部:裏での修正あるいは覚醒(血と愛の誓い)】


(俺は間違った。妻や娘たちに、こんな悲しい顔をさせる俺は、大馬鹿野郎で大クソ野郎だ。誰がこの子たちを泣かせた? なぜ泣いている? 俺だ。俺が、独善的でバカだからだ……!)


激しい後悔の嵐が吹き荒れる中、ユミが涙を流してキヨタカを睨みつける。


「少しは分かった!? 私たちはあなたを愛してるの! 独りよがりにならないで! 私たち、家族でしょ……!?」


ユミの言葉が、キヨタカの胸の奥底の殻を粉々に粉砕した。

キヨタカは衝動的に立ち上がると、近くにあった集落の大木へ向かって、思い切り頭突きを敢行した。


――ゴ、ンッ!!!


鈍い衝撃音が響き、キヨタカの額から、真っ赤な本物の血がタラリと流れ落ちる。

驚きに息を呑むユミと娘たち。

キヨタカは血を拭いもせず、涙と血に塗れた顔のまま、這いつくばるようにして家族を見上げ、声を震わせた。


「悪かった……! 本当に悪かった……っ! お前らの顔を見た時、絶望が先に来た。……ああ、そうだよな。独善で動いて、一人で解決した気になって……本当の馬鹿野郎だよ、俺は……!!」


キヨタカは流れ落ちる血をそのままに、ユミの、そして娘たちの目を真っ正面から見据えて、5〇前のおじさんの人生で一度も言えなかった『本音』を叫んだ。


「外で何があっても誓う! 言ったことなかったけど、俺はユミも、ミカも、コユキも、モナも、みんなが大好きだ! 愛してる! 何があっても絶対に離さないと言える……! だけど……今のおれじゃ足りないんだ! 『独りよがりで、俺の言う通りにしていればいい』なんて言っている俺じゃ、全然足りないんだよ……! だから……また俺が間違いそうになったら、俺の頭がガチリと大頭になって暴走しそうになったら――お願いだから、俺を叱ってくれないか?」


血を流しながら、必死に「自分を叱ってくれ」と頼み込んでくる不器用な夫。

その姿に、ユミは呆れたように涙を拭うと、いつもの品のある、極上に優しい微笑みを浮かべた。


「……ふふ、本当に仕方のない人ねぇ。……いいわ、あなたがまた醜い独裁者になりそうになったら、私が何回でも、こうして引っ叩いて目を覚まさせてあげます」


パパの「愛してる」の言葉とユミの笑顔を見て、ようやく子猫たちの顔に笑顔が戻る。

しかし、娘たちは一斉にキヨタカに抱きつきながら、ぷくーっと頬を膨らませた。


「もう! 今度また、あんな怖いパパンになったら、ミカは一週間口きいてあげないんだからねっ!」


「コユキも……あーんってしてあげないにゃ」


「モナもパパこと、ゴロゴロしてあげないもーん!」


「ああ、約束する。二度とあんな顔はさせない」


キヨタカは涙と血を流しながらも、心からの笑顔で愛しい家族を優しく抱きしめるのだった。


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【システムログ:第3イベント・現実ハック成功(完全覚醒)】

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■ 現実行動:『独裁の破砕』および『対等な信頼と対話(真のガバナンス)』の誓いを検知。

■ 処理結果:

 ・1%のペナルティロックを完全に粉砕。

 ・家族の愛の魔力により、因果のパスが過去最大値まで限界突破。


【理想の未来ルート確定率】:1.00%(ロック) ➡️ 25.00%(限界突破・完全定着ロック!)

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「わかった。現実のオフィスの檻も、俺が今すぐ壊してくる」



⑤ 【第五部:表での解決(現実世界でのハック)】


ハッと目を開けると、そこは現実のオフィスの自席だった。


キヨタカは血の滲むような感覚を胸に即座に立ち上がると、オフィスの中央へと歩み出て、これまでにない大声を張り上げた。


「全員、少し手を止めて、俺の言葉を聞いてくれ!!」


その声に、部下たちがビクッと肩を震わせ、液晶画面から恐る恐る視線を上げる。

キヨタカの目に映ったのは、誰も意見を言わなくなり、疲弊しきった部下たちの、死んだような酷い顔だった。


(……皆、なんて酷い顔をしてるんだ。こんな顔で、こんな息苦しい職場で仕事をさせているのは一体誰だ……? 俺だよ。俺が大馬鹿野郎だからだ……!)


キヨタカは部下たちの前に立つと、5〇前の男のプライドを全て投げ捨てて、勢いよく腰を90度に深く折って頭を下げた。


「聞いてください……っ! 今まで、本当に、本当にすみませんでしたぁぁっぁ!!! 俺は、自惚れていた……! 傲慢だった! 何より、独善過ぎたんだ! 『お前たちのために環境を作ってやる』なんて言いながら、結局は自分の考えを一方的に押し付けて、みんなの心を縛り付けて、殺していたんだ……っ!」


あの恐怖の独裁者と化していたキヨタカが、本気で床に届くほど深く頭を下げて謝罪している。

その剥き出しの誠意が伝わったのか、唖然としていた部下たちの間に、ゆっくりと温かい体温が戻り始める。


やがて、先ほどまっとうな進言を握りつぶされた中堅の部下が、ポツリポツリと言葉を紡ぎ出した。


「……キヨタカ課長。……プロジェクトが始まった時と、最近の課長、あまりに違いすぎたので……正直、何かあったのかと思っていました。でも……それだけ、この『巨大駅再開発プロジェクト』の重圧って、凄まじいものだったんですね。俺たち、課長から与えられた仕事のことしか考えていませんでした……。課長がどれだけの泥を一人で被ろうとしていたのか、少しでも気に掛けていたら……俺たちの側からもっとアプローチしていれば、違ったんですかね……」


部下たちの温かい言葉に救われ、ゆっくりと頭を上げたキヨタカ。

その顔には、いつもの愛嬌ある犬顔の笑顔が戻っていた。


「……よし! だったら、今日はもう仕事はやめだぁぁぁ~~~~!!!」


バリバリバリッ!!!


キヨタカは自席から、自分が不眠不休で作り上げた『ガチガチのシビアなロードマップ』を引っ掴み、豪快に引き裂いてゴミ箱へと投げ捨てた。


「え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!???」


オフィスに悲鳴のような驚愕の声が響き渡る。


「そ、それ、俺たちが少しずつ修正して、なんとか現実可能な状況になりかけてたのに!!!」


「もっと皆の意見を100%取り入れたロードマップを、明日から全員で作り直す! だから、今日のロードマップはこれでおしまいだ!」


「じゃあ、今日の残りの業務って……課長、まだ午前10時ですけど!!?」


「飲む! 無礼講の親睦会だぁぁぁ~~~!!! お金は俺が全部出す!!!……ただし、上限はありだ!!!(切実)溜め込んだ不満、言いたいこと、俺のクソなところ、全部俺にぶぜろ!! 俺も本気でお前たちの声を聴いてみたいんだ!!」


唖然とした後、部下たちの間に「わはは!」と爆笑が沸き起こる。


午前10時、プロジェクト炎上中の部署が全員で居酒屋へ突撃するという前代未聞の事態。

この日、表面的な仕事は1ミリも進まなかった。


しかし、ビールを酌み交わし、不満をぶつけ、共に笑い合ううちに、部下たちの顔には完全に本物の笑顔が戻っていった。


「課長! あのマニュアルの3ページ目、あれ人間が動くスケジュールじゃないですからね!」

「課長が凶獣みたいな目で睨むから、みんなお昼ご飯の味もしなかったんですから!」


お酒の勢いで笑いながらぶっちゃける部下たちに、キヨタカも「すまん、本当にすまん……!」と頭をかく。

互いの『人柄』を本音で知り合ったチームは、もはや恐怖の奴隷ではなかった。


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【システムログ:第3イベント・現実ハック成功(完全覚醒)】

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■ 現実行動:独裁ロードマップの破砕、および午前10時の本音親睦会の執行。

■ 処理結果:

 ・永続デバフ称号『孤独な独裁の管理者』を自ら完全にへし折る。

 ・対話の開通により、隠蔽されていた無数のトラブルの隠し倍率を【完全無効化パージ】。


【理想の未来ルート確定率】:11.00% ➡️ 25.00%(限界突破・完全定着ロック!)

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 文字通り、現実のオフィスの檻を、俺は今すぐこの手で壊してやった。

これからは、歯車じゃない。俺の最高の部下たちと、対等な信頼と対話でこの魔窟のプロジェクトを回していく。


もう、俺の背後で泣きじゃくる娘たちも、悲しむユミの姿もない。

手のひらに残る25%の、人間の子供としての生々しい未来の温もりを、俺は愛おしそうにそっと握りしめた。


     *


 翌朝。

 オフィスには、全員が揃って頭を押さえ、ゾンビのようにウコンの力を飲む「二日酔い集団」の姿があった。しかし、空気は驚くほど軽やかで温かいものに変わっていた。


 信頼を取り戻した部下たちが、これまで隠蔽されていた『滞っていた報告連絡』を一気に吐き出した。

その中から、「今は平気だけど、後々確実に厄介な大炎上を引き起こすトラブルの種」が発見される。


書類を検分したキヨタカが、思わず目玉を飛び出させて叫んだ。


「お前ら、そんな大事なこと、ちゃんと最初から報告しろよぉぉぉぉ~~~!!?」


すると、報告した部下が頭を押さえながら、ニヤニヤと笑って言い返した。


「いや、だって、最近の課長、そんなの報告できるような雰囲気じゃなかったじゃないですかぁぁぁ~~~!!?」


周囲の部下たちからも「そうだそうだ!」「怖すぎました!」とヤジが飛び、オフィスがドッと笑いに包まれる。


「うっ……それは、本当に悪かった。よし、全員でこの種を速攻で叩き潰すぞ! ロードマップの作り直しだ!」


「おっしゃ、やりますか!」「任せてください!」結束は固まった。



もうこのチームにブラックボックスはない。完璧に風通しの良い、自然な連携のラインが出来つつあった。



デスクの端に置かれた、例の元請け企業からの『金額未定の注文書』を睨みつけ、キヨタカは獰猛に口角を上げる。


 カーテンの隙間から、現実世界の冷たい朝の光が差し込んでいた。


 俺はゆっくりとベッドから立ち上がり、重く軋む不摂生な『人間の体』の痛みに顔をしかめながら、鏡の前に立った。



昨夜まで娘たちを包み込んでいたあのふかふかの黄金色の肉球は消え去り、そこにあるのは、冷え切った、垢抜けない冴えない中年のおじさんの手だ。


 ──だが、その瞳の奥から、締まりのない愛嬌は完全に消え失せていた。


(……待たせたな、クソ元請け。現場を事なかれ主義で買い叩こうとするお前たちの悪意なんて、今の俺たち『最強のチーム』の前には羽虫の羽音にもならない。



次はお前たちのその薄汚いガバナンスを、ロジカルに圧殺してやる)


裏世界の家族の愛、そして現実の部下たちとの無敵の絆。2つの最高の盾を手に入れたキヨタカは、満を持して、因果の門――


第4章【悪意ある注文書編】の戦場へと、堂々と足を進めるのだった。



(第3章・完) 【第 4 話:リザルト(戦果報告書)】


【 第 4 話:リザルト(戦果報告書)


】■ 獲得・更新された称号:・

『真の絶対管理者』(『孤独な独裁の管理者』を完全上書き・覚醒!)*効果: 今後の組織戦において、部下全員のモチベーションと生産性を+200%する。・

『無責任チート主人公の天敵』(未覚醒/解放確率:65%)

■ 今回使用されたスキル・言霊:・『実行力:独裁ロードマップの物理破砕 & 午前10時の自腹居酒屋突撃』・『言霊:50前のおじさんの不器用な「愛してる」の咆哮(家族と部下との因果再接続)

』■ 世界線確定率の変動:・【暖炉の我が家ルート確定率】: 22% ➡️ 11%(恐怖政治) ➡️ 1%(処刑台転落) ➡️ 25%(限界突破!)・


【美少女エルフ風呂もふもふハーレム率】: 0.3% (変動なし/妻ユミの嫉妬魔力により大氷結中)

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