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侯爵家の捨て駒だった私、王子と組んで全員公開ざまぁ  作者: たま


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7/10

7話 対等契約

数ある作品の中から本作をお選びいただき、ありがとうございます。

拙い部分もあるかと思いますが、最後までお楽しみいただければ嬉しいです。

7話 対等契約

「——私のもとに来るか?」

王子の言葉が、静かに響く。

観客席の誰もが、息を呑んでいた。

この場で、その問いに“条件をつける”など——

普通なら、ありえない。

(……でも)

私は、ゆっくりと息を吐く。

そして。

「お断りします」

——ざわめきが、爆発した。

「なっ!?」「断った!?」「相手は王子だぞ!?」

空気が、一気に張り詰める。

だが——

王子は、微動だにしなかった。

むしろ、わずかに目を細める。

「理由を聞こう」

怒りはない。

ただ、試すような視線。

(やっぱり)

この人は、面白い。

「私は——誰かの“部下”になるつもりはありません」

はっきりと言い切る。

観客席が、再びざわつく。

「ですが」

一歩、距離を詰める。

真正面から、その目を見据える。

「対等な契約であれば、話は別です」

——静寂。

今度は、誰も声を出せなかった。

「……対等、だと?」

王子が、低く繰り返す。

「はい」

迷いなく頷く。

「私は力を提供します。その代わり——」

指を一本、立てる。

「私の自由を、一切制限しないこと」

二本目。

「任務の選択権は、私にあること」

三本目。

「そして——」

少しだけ、間を置く。

「成果に応じた、正当な対価をいただきます」

ざわめきが、再び広がる。

「条件が対等どころか上じゃないか……」「完全に交渉してるぞ……」

それでも、私は視線を逸らさない。

(ここで引いたら、意味がない)

王子と、対等に立つ。

そのためには——

最初がすべてだ。

「……なるほど」

王子が、小さく息を吐く。

そして——

笑った。

「面白い」

はっきりと、そう言った。

「普通の者なら、私の名を出した時点で跪く」

一歩、近づく。

「だが君は違う」

その瞳に宿るのは、明確な興味。

いや——それ以上。

「いいだろう」

あっさりと、頷いた。

「その条件、受け入れる」

「殿下!?」

周囲の教師たちが、思わず声を上げる。

「よろしいのですか!? あまりにも——」

「問題ない」

一言で、黙らせる。

視線は、私から外さないまま。

「それだけの価値があると判断した」

(……決断が早い)

だからこそ——

この人は上に立つのだろう。

「では」

王子が、手を差し出す。

「契約成立だ」

ほんの一瞬だけ、考える。

(この選択は——)

間違いじゃない。

むしろ。

「はい」

その手を、取る。

「よろしくお願いします」

触れた瞬間。

空気が、変わった気がした。

ただの契約じゃない。

これは——

「共に、王国を変えるぞ」

王子が、静かに言う。

その言葉に。

少しだけ、笑みがこぼれた。

「興味があれば、ですが」

あえて、そう返す。

「ふっ……言うな」

楽しそうに、王子が笑う。

その様子に、周囲はただ呆然とするしかなかった。

王子と、対等に言葉を交わす少女。

それはもはや——

“特待生”などという枠には収まらない存在。

「……なんなんだ、あの子は」

誰かが呟く。

答えられる者はいない。

ただ一つ、確かなのは——

この日を境に。

学園の序列が、完全に塗り替わったということ。

そして。

「——見つけたわ」

遠く離れた場所。

侯爵家の屋敷で。

姉マレーヌが、その報告書を握りしめていた。

「アリス……!」

紙が、くしゃりと歪む。

そこに記されていたのは。

“選抜戦優勝者:アリス・フォン・ルヴェール”

そして——

“第二王子との特別契約締結”

「そんな……ありえない……!」

顔が、歪む。

これまで見下していた存在が。

手の届かない場所へ行こうとしている。

その現実を——

受け入れられない。

「ふざけないで……!」

爪が、紙を裂いた。

「どうせ何か裏があるに決まってる……!」

だが。

その声は、震えていた。

怒りだけではない。

焦り。

恐れ。

そして——

「……取り戻さないと」

ぽつりと、呟く。

「“あれ”は、本来——」

言葉は、途中で止まる。

けれど、その目には。

明確な執着が宿っていた。

——物語は、次の段階へ進む。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

誤字脱字のご連絡ありがとうございます。

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