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侯爵家の捨て駒だった私、王子と組んで全員公開ざまぁ  作者: たま


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3/10

3話 決闘申請

数ある作品の中から本作をお選びいただき、ありがとうございます。

拙い部分もあるかと思いますが、最後までお楽しみいただければ嬉しいです。

3話 決闘申請

「——待てよ」

背後から声がかかる。

振り返らなくても分かる。

さっき、私を笑っていた男子生徒だ。

「……何か?」

ゆっくりと振り返る。

彼は苛立ちを隠そうともせず、こちらを睨みつけていた。

「さっきの、どういうトリックだ?」

「トリック?」

「とぼけるなよ。無詠唱であんな威力が出せるわけないだろ」

周囲の生徒たちも、息を潜めて様子を見ている。

「魔道具か? それとも裏で誰かが干渉してたのか?」

(……なるほど)

納得する。

認められないのだ。

自分より“下”だと思っていた相手が、理解できない力を持っていることを。

「別に、どちらでもありませんけど」

「じゃあ証明しろよ」

彼は一歩、こちらに近づいた。

「決闘だ」

ざわり、と空気が揺れる。

「学園規則にあるだろ。生徒同士の正式な実力証明——決闘制度が」

確かに、入学前の説明で聞いた覚えがある。

立会人のもとで行う、一対一の模擬戦。

「逃げるなよ?」

挑発するように笑う。

「まさか、“偶然でした”なんて言わないよな?」

(……面倒)

正直な感想はそれだった。

でも——

(ちょうどいいかも)

ここで、はっきりさせておくのも悪くない。

「分かりました」

あっさりと頷く。

その瞬間、周囲がどよめいた。

「本当に受けるのかよ!?」「相手は上級クラス志望だぞ!」

「場所は訓練場だ。今すぐ行くぞ」

彼は勝ち誇ったように背を向ける。

(……随分、自信があるんだな)

私は小さく息を吐いて、その後を追った。


訓練場には、すぐに人だかりができた。

「決闘だってよ」「例の次女と、アルヴェイン家の嫡男だ」

「どっちが勝つと思う?」「いや、さすがに男子の方だろ……」

ざわめきの中心に立つ。

向かいには、彼。

「今ならまだ降参できるぞ?」

余裕の笑み。

「怪我したくないだろ?」

「大丈夫です」

私は首を横に振る。

「すぐ終わるので」

「……は?」

ぴくり、と彼の表情が歪む。

「言ってくれるじゃないか」

その時、教師が前に出た。

「これより決闘を開始する。ルールは単純、一方が戦闘不能、もしくは降参を宣言するまでだ」

一瞬の静寂。

「——始め!」

その合図と同時に。

彼が先に動いた。

「《フレイムランス》!」

鋭い炎の槍が、一直線にこちらへ迫る。

速度も威力も、確かに優秀。

普通の生徒なら、回避が精一杯だろう。

(でも)

私は、一歩も動かない。

「——遅い」

小さく呟く。

右手を、軽く振る。

それだけで——

炎の槍は、霧散した。

「なっ……!?」

彼の目が見開かれる。

「ば、馬鹿な……今のは上級魔法だぞ!?」

「そうなんですか?」

興味なさそうに首を傾げる。

「よく分からないですけど」

一歩、前に出る。

それだけで、彼が後ずさる。

(……もういいかな)

これ以上は、時間の無駄。

「終わりにします」

魔力を、ほんの少しだけ解放する。

空気が軋む。

観客席から悲鳴が上がった。

「な、なんだこの圧……!」「息が……重い……!」

彼は、その場に縫い付けられたように動けない。

「ま、待て……」

顔が青ざめている。

さっきまでの余裕は、もう欠片もない。

「降参、しますか?」

静かに問う。

「それとも——」

指先に、光が集まる。

「続けますか?」

「っ……!」

歯を食いしばる。

けれど、その目はもう——折れていた。

「……降参、だ」

絞り出すような声。

その瞬間。

「勝者、アリス・フォン・ルヴェール!」

歓声が爆発した。

「嘘だろ……圧勝じゃねえか」「次元が違う……」「なんなんだあの子……」

私は、ゆっくりと手を下ろす。

魔力も収める。

途端に、場の空気が軽くなった。

「……では」

軽く一礼する。

倒す必要すらなかった。

ただ、見せただけで十分。

「失礼します」

背を向けて歩き出す。

その背中に向けられるのは——

もはや嘲笑ではない。

畏怖と、敬意。

そして——

「……覚えていろよ」

小さく、悔しげな声。

(うん、いいよ)

心の中でだけ答える。

覚えておいて。

これが——

本当の“実力差”だから。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

誤字脱字のご連絡ありがとうございます。

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