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侯爵家の捨て駒だった私、王子と組んで全員公開ざまぁ  作者: たま


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2話 規格外

数ある作品の中から本作をお選びいただき、ありがとうございます。

拙い部分もあるかと思いますが、最後までお楽しみいただければ嬉しいです。

2話 規格外

「では、次。アリス・フォン・ルヴェール」

名を呼ばれ、一歩前に出る。

周囲からは、まだざわめきが消えていなかった。

「さっきの魔力反応、本当なのか?」「侯爵家の次女って……あんなの聞いたことないぞ」

ひそひそと囁く声。

けれど、その中に一つだけ、はっきりとした嘲りが混じる。

「どうせ測定ミスだろ」

声の主は、前の列にいた男子生徒だった。

整えられた金髪に、自信に満ちた笑み。

「見た感じ、ただの地味な女じゃないか」

くすくす、と笑いが広がる。

(……やっぱり、こうなるよね)

少しだけ苦笑する。

慣れている。

見た目で判断されることも、最初から軽んじられることも。

「静かにしなさい」

教師の一声で、場が収まる。

「これから実技試験を行う。的に向かって、任意の魔法を放ちなさい。威力・制御・発動速度を総合評価する」

視線の先には、魔力耐性を持つ石柱が並んでいた。

「壊すつもりで構わん。ただし——」

教師が少しだけ言葉を区切る。

「壊せるなら、な」

再び、笑いが起きた。

先ほどの男子生徒が肩をすくめる。

「まあ、せいぜい火花でも散らしてくれよ」

(……いいよ)

胸の奥で、静かに何かがほどける。

ここなら、抑えなくていい。

誰にも、奪われない。

「始めます」

右手を、軽く前に出す。

詠唱は——しない。

「は? 詠唱なしかよ」

誰かが呟く。

その瞬間。

空気が、変わった。

「——え?」

教師の顔色が一変する。

魔力が、収束する。

圧縮され、凝縮され、形を持つ。

それは——

「光……?」

違う。

ただの光じゃない。

「——《収束閃光》」

次の瞬間。

轟音すら、置き去りにした。

視界が白に染まる。

一瞬遅れて、衝撃が大地を揺らした。

——そして。

静寂。

「……は?」

誰かの、間の抜けた声。

石柱は——

消えていた。

跡形もなく。

その背後の結界ごと、綺麗に“削り取られていた”。

「ば、馬鹿な……」

教師がよろめく。

「結界は上級魔法にも耐えるはず……それを、無詠唱で……?」

周囲の生徒たちは、誰一人として声を出せない。

さっきまで笑っていた男子生徒は、口を開けたまま固まっていた。

「……あ」

私は小さく息を吐く。

「少し、やりすぎましたか?」

誰も答えない。

答えられるはずがない。

「き、君……今のは……何だ……?」

震える声で、教師が問う。

私は少しだけ考えてから、首を傾げた。

「基礎魔法、ですけど」

その瞬間。

場の空気が、完全に凍りついた。

——基礎魔法。

誰もが最初に習う、最も簡単な魔法。

それで、あれをやったのか?

理解が、追いつかない。

「……化け物だ」

ぽつりと、誰かが呟く。

(違う)

心の中で、静かに否定する。

私はただ——

ずっと、やってきただけだ。

誰にも認められない場所で。

誰にも見られないまま。

「合格、だ」

教師が、絞り出すように言う。

「いや……特待生枠での編入を、今この場で推薦する」

どよめきが爆発する。

「特待生!?」「初日で!?」「ありえないだろ!」

視線が、一斉に突き刺さる。

羨望、畏怖、困惑、そして——

明確な“格上への認識”。

さっきまでとは、まるで違う。

(……変わるんだ)

こんなにも簡単に。

力を見せるだけで。

私は、ほんの少しだけ目を伏せた。

そして——

ゆっくりと、微笑む。

「ありがとうございます」

——ここから先は、もう隠さない。

全部、手に入れる。

力も、評価も、居場所も。

そしていつか——

私を“いらない”と言ったあの家に、

後悔させてあげる。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

誤字脱字のご連絡ありがとうございます。

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