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猫を追いかけて異世界  作者: ふー
激震編
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迷宮散策?

お読みいただきありがとうございます

 聖堂の中庭を散策しております。

 プラチナブロンドでルビーの瞳、透けるような白い肌のエステリオ王国の戦神子シンが光り輝くような笑顔で歩いています。

 ティルルはエステリオ国王と会談中。


 ついつい食べ過ぎてお腹のあたりがきついです。

 これは、夜は軽めにしないとと思っていたら、

「陛下達はこれからミーティングに入るから、僕たちは少し座を外していようか。少しお腹をこなしたほうがいいしね。」

 と今横を歩いている超絶美形に言われ断るに断れずに歩いております。


「ゆっくり話したかったので、プエブロに言ってパワーランチをセッティングしたのですよ。」

 差し込む光に髪がキラキラ光る。


「あ、ありがとうございます。」


(こっちが主目的ですか?)


「そんなに緊張しないで楽にしていいよ。敬語もいらないからね。」


「はい。ありがとうございます。」


「私はね、実は君をよく知っている。」


「え?・・・シンガポールに友人はいませんが?」


「こっちに来てから。私のこの髪と目をどう思う?」


 会話が飛ぶ。


「綺麗だと思います。」


「ありがとう。」

 透き通るような笑みだ。


「白い蛇とか見たことないかな?」


「アルビノのことですか?」


「サヤは博識だねえ。」

 そんなことないです、と首を振る。




「良い香りがする。何か香水を使っている?」

 また会話が飛ぶ。


「いいえ。」


「じゃ、サヤの体から香る香りだね。好きだな、この香り。」


(ひえ~)

 沙耶は内心あたふたもので脇汗もじわりとにじむ。



 少々強引に話を戻す。

「そ、それはシンがアルビノということですか?」


「アルーン。」


「え?」


「アルーンって呼んでくれないかな?まだこの世界でこう呼ばせている人はいないのだけど、君になら、君の口からその音が聞きたい。」


(なんなの~なんか・・・もしかして押されている?からかわれている?)


「誰も呼んだことのない名前なんてたやすくよべません。」


「そうか、そうだよね。もう少し知り合ってからだね。私は君のことを知っているからつい勇み足になってしまったようだ。」


 話が飛びまくるのはわざとか天然か。


「そうでした。私とどこで会っていたのでしょうか?」

 こんな超絶美形なら一キロ離れていても分かりそうなものだ。


 これはついて行くのが大変だわ。しっかりしないと迷子になりそうだ。


「私の能力を話したね?」


「『種子』でしたね?」


「そう、私は『生まれる物の元』を生み出すことができる。あの時は簡単に皆が理解しやすいように軽く説明したけどね、」


「『生まれる物の元』?・・・何が・・・え~と何を生むかは決められるということですか?」


 シンはさらにきらびやかな顔になって

「さすがだね。君は聡明な人だ。」



(さっきから褒め倒されている気がするのですが、もしかして迷わずに付いて行っているからでしょうか?)


異世界こちらに来てからお会いしたことなどないと思いますが、いま聞いたお話だとメドーも前の戦神子のように変身できるわけでもなさそうですし。」


「考えてみる?」


「私にはとても考えつきません。」


「アルビノになって前よりひ弱になってしまった私は、エステリオの国土全部を回るのは大変な苦痛を伴うものだったのだ。今のケンジのように何ができるかわからなかったしね。」

 それは沙耶も同じだ。わからないままにそれでも『楔』を打つことは必要だと言われて国境を回った。


「『代わりになるものが欲しい』と思って出てきたのが『種子』だった。これを国境に『楔』と共に埋めてもらうとそこから樹が生えて効力を発揮したのだ。助かったよ。」


「国境に行かなくても良くなったのですね?」


「そう、それに加えてその樹の周りを見ようとすれば見れるようになった。」


「樹が端末になったということですか?」


「理解が早くて助かるよ。こちらの世界のものに話しても理解してもらうのに時間がかかる。」


「マエールの近くにもその樹があったのですね。それで私を見た。」

 なるほどと頷く。


「そういう事もあるが、ちょっと違う。『種子』は人にも植えることができる。」


「ええ?」

(話がグロくなってきました!)


「引かないでいいよ。オカルト的なものではないから。あくまで感覚器を共有させてもらうだけだから。」


「・・・『種子』を植えられた人の見ているものを見ることができるということですね。」


「そう、ただ見るだけ。植えられた人は気がつかないね。」


 思わずサヤは自分の体を見回す。


「大丈夫。サヤにはつけていないよ。ブロウンにはつけていた。あの男は変身してあちこちに潜り込むのでちょうど良かった。あと香辛料を商う商人にも付けてある。」


(話が戻った!)


「変身・・・まさかあの時見ていたとか?」


 サヤが誘拐?された時だ。


「見ていた。君の能力が花火や虹だけでないことも知っているよ。シロもちらっと見たけど強そうだ。」


「本当に知っているのですね。」


「他にもいろいろね。サヤの辛かったことも分かるつもりだ。」


「辛かったことなどないです。皆に支えてもらってきましたから。」


「でも、所詮異世界人だ。根元のところでは決定的に違うと思っていないかい?」


「同じ人間だと思っています。」


「強いね、サヤは。その強さがあれば壊れなくて済みそうだね。思った通り君は私と同じだ。」


「同じ異世界人ですが?」


「そうではない。私はキマイラと戦うために『種子』からインドの神を模したものを生み出して代理として戦わせた。つまり《自分の代わり》から《自分の感覚器の代わり》、そして《自分の望むものを生み出す》と変化させてきた。戦神子の能力はその認識によって後天的に伸ばすことができる。しかし、その能力をほかの神子は限定しすぎ。肉体派・操り人形・変身。今度の戦神子たちはまだわからないけどね。サヤは概念で能力を分岐させてきた。その考え方は私と一緒だと思う。君は他の戦神子と違う。」


「そんなことはありません。未だに足でまといに無力です。一緒などということはありません。」

 こんなに自分の力について語ってしまっていいものなのだろうか?そのことにビビリつつ頭を振る。


「ごめん。私は君を知っているから先走りすぎたね。そうだ。これを持っていてくれないか。」

 サボテンの鉢植えを出される。


「?」

 プレゼントでしたら花が定番なのでは?



「このサボテンには『種子』を寄生させてある。これは、いわゆる通信機。私の方はサヤの顔も見れるけどね。相談事があったらこれに話しかけて欲しい。24時間体勢で受け付けるよ。」


 じっとサボテンを見て手を出さない沙耶にシンが苦笑する。

「慎重なのはいいことだよ。そろそろお昼も終わりだね。ああ~楽しい時間はすぐ過ぎる。」


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