表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫を追いかけて異世界  作者: ふー
奈落侵攻編
PR
104/112

死地

お読みいただきありがとうございます

ちょっと辛いかもしれません

飛ばしてくれとは言いません

自分に引きつけようとは思ったが、集中攻撃されるとは思っていなかった。

『電子レンジ』の『沸騰』を少しでも緩めるとキマイラの壁が襲ってくる。ぐるりと周りを囲まれてしまっている。

奥歯がガチガチとなって震えが止まらない。

見るのもおぞましい異形の群れが、真っ赤な口を開けあるものは長い舌をのたくらせ、あるものは粘液状のよだれを垂らし、口々にに唸り吠え立てる。


「なんでよ!あっちに行ってよ!気持ち悪いのよ!」

恐怖で蹲りそうな体を、口で支える。

「皆んな煮えちゃうんだよ!これね、『電子レンジ』は固くても強くても体液を沸騰させて、煮ちゃうんだから!」


「無駄無駄無駄無駄」

本人はパクっているとは思っていない。必死である。

「引きなさいよ!逃げなさいよ!」


『助けて』『嫌だ』とか『やめて』など口にしたら崩れてしまいそうだ。

沙耶は思いつく限りの悪態をキマイラに吐きつつ、応戦する。





「何なんだ!」

アーカネの方も予想外の展開に唖然とする。


「サヤを援護しろ!外側を削るんだ。」

そうは言っても、上位キマイラがやすやすと排除できるはずもない。

(くそ!サヤが連続して能力を行使したことはない!集中力が途切れたらやばい!)


「足をねらえ!」

キマイラで飛行能力のあるものがいなかったのが幸いして、上空は空いているが、こちらの世界にも飛行能力のある者はいない。

サヤがどういう状況かもわからない。

キマイラの苦痛の声からして攻撃をしのいで反撃していることはわかるが。

時間の問題だ。



ジュッ


肘が熱い。

「なに?」


ジュッ


足が痛い

「あっ!」

立ってられない。


キマイラが溶解液のつばを吐いたのだ。

本体は『電子レンジ』に阻まれるが、遠隔攻撃は効くと分かってしまったらしい。


周囲から溶解液が飛んでくる。

刺激臭が漂う。

「熱い!痛い!なんだってのよ!痛いじゃないの!」







「ダメかもしんない」

吐いた弱音が心を砕く。


沙耶は崩れ落ちる。

キマイラは少し様子を見ている。

沙耶は体を起こそうとするが折れてしまった心は、力を奪う。

抵抗がやんだと見て一匹のキマイラが、近寄ってくる。


前足で沙耶を小突こうとした時

そのキマイラの足が吹っ飛んだ。


全身を白銀に染めて毛を逆立てて沙耶の体の上に立っているのは、シロだ。

『ううぅぅぅぅぅ』

威嚇の声を上げる


これは私の家族だ

手出しすることはゆるさん


足を吹っ飛ばされたキマイラも憤怒の声を上げる


それはもらう

生きたまま連れて来いと主が命じた





沙耶は自分がころされたと思った。

溶解液のただれた皮膚の灼熱の痛みがユリルの『再生の呪紋』の効果で、なめらかな肌に戻りつつある。

柔らぐ痛みは、死にゆくからだと思っていた。

顔に生臭いぬるっとしたものがかかる。

目を開けると、そこには沙耶をかばうように立ち、キマイラの攻撃を受けているシロが映る。

沙耶を守るために、『ヒット&アウェイ』の戦いができず防戦一方のシロは、すでに満身創痍だ。

銀色だった毛は、元の白の戻って・・・いや体中の傷から出る鮮血で体は赤く染まりつつある。

顔にかかったのはシロの血だ。


「シロ!」

沙耶がシロの体の下から、出ようとすると片手で押し戻される。

その隙をついてキマイラの一匹がシロの脇腹に食いつく。


『ぎゃん』

シロの口から苦痛の声が響く。

獣も苦痛の声を上げた時が、敗北の印だ。


シロの体から闘気が消えていく。

「シロ?シロ!しっかりして!」


抵抗が手薄になったシロにキマイラたちが襲いかかる。

「来るな!」

沙耶とシロの周りのキマイラが一瞬にして燃え上がる。


「シロ!しっかり!」

シロの体を調べる。

シロには『再生の呪紋』が施されていない。


「シロ!」


シロの目の光が消えていく。


「やだ!ダメ!シロ!」


必死でシロの体に『再生の呪紋』を刻もうとするが、戦神子の能力を使っているために『呪紋』が浮き出ない。

沙耶は防備を解く。

キマイラは警戒して遠巻きにしている。

沙耶はシロの体に『呪紋』を刻む。

効果が発揮すれば『呪紋』が発光するはず。


「早くして!」


シロの目の光はますます弱くなっていく。


『ぬ~』

甘えた声が出る。


「シロ!がんばって!」


抱きつく沙耶の顔をシロが少し出した舌で舐める。


「『呪紋』!」


発光しない。

シロの毛が艶をなくしていく。


「やだ!シロ!」


今回までがキマイラのターン

次回からサヤのターン!

『攻勢』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ