第 5幕:南部のゴーストタウン
皆さんご存知でしょうが180pv突破と135ユニークアクセス突破いたしました。活動報告にも書きましたが再度書かせていただきました。出来れば記念に2個同時で投稿します。
砂漠は僕たちを歓迎してくれなかった。午前4時ごろになると、砂漠の灼熱は、広大で凍てつくような虚無へと変わっていた。貨物トラックは僕たちの下で轟音を立て、巨大なタイヤが国道のひび割れたアスファルトに振動を響かせた。僕はトラックの荷台の錆びた金属の上で仰向けに寝転がり、星で埋め尽くされた空を見上げていた。そのあまりの満天の星空に、めまいを感じた。
僕は両手で顔を覆い、星明かりを遮った。指の暗いシルエットを見つめながら、左の掌に走るギザギザの白い傷跡をなぞった。
この傷はなんだ?僕は考えた。その問いは忘れ去られた何かの壁に跳ね返って、底なしの静かな暗い穴に落ちていくような感覚だった。僕は傷に関して考えるのを止めた。僕はなにが分かるのかを考えた。大体、基本的なことはわかるようだ。 例えば言葉とは何か、使い方とかは理解できるが、重要な僕自身に「起きた出来事」がどうやっても出てこない。考えすぎて頭が痛くなった。僕は薄汚れたトラックの周りを初めて頭を上げて見渡した。その過程で、 僕はトラックが南に向かっていることを知った。根拠はトラックの荷物に割れたコンパスがあったからだ。
南にはなんとなく行きたくない。 南では行くあてがないがしょうがない。ミアなら少しは分かるだろうな、そんなことを考えていた。隣にいるミア――もしそれが彼女の名前なら――は、朽ちかけたキャンバスの防水シートの山にもたれかかっていた。目は虚に見開かれ、遠くの高速道路の標識の眩しい光を、その瞳は見つめている。それはまるで二枚のガラスに映し出されているかのように見える。大体45秒ごとに、彼女の胸がぴくりと動き、鋭く不自然な息を吐き出す。それは人間の呼吸というより、あらかじめ決められた手順で繰り返される機械仕掛けのふいごの音のようだった。僕は手を伸ばして彼女の頬に触れてみた。彼女の肌は氷のように冷たかった、トラックの荷台の無機質な金属と同じように。「目を覚ませ」と僕は囁いた。自分の声が、自分の耳には奇妙に聞こえた。かすれていて、妙に若々しい声だった。自分でも知らないような声に嫌気がさした。そしてやけに重苦しい、防御的な響きを帯びていた。再び声を出したのだが、掠れすぎた声に彼女は瞬きもしなかった。右目の暗い虹彩の下にかろうじて見える小さな青い光が、一度、二度点滅した後、消えた。
僕は血痕のついた設計図に書かれた臨床的な言葉が脳裏に浮かんだ。その文書は、僕に残された唯一の確かな拠り所だった。母の顔も、幼い頃の家も思い出せなかったが、その設計図は、まるで永久的な傷跡のように、目の奥に焼き付いて離れない。ミアが何者なのか分かっていないわけではない。ただ、ここまで分かっているのに、なぜ僕は彼女から離れようとしないのか、分からなかった。トラックは減速し始め、エアブレーキから耳をつんざくような金属音が鳴り響き、歯にガタガタと響いた。高速道路の滑らかな道から打って変わって、でこぼこでガタガタと揺れる砂利道へと変わった。僕は慌てて膝立ちになったが、その動きで肋骨の折れた痛みが胴体の奥深くまで響き、思わず顔をしかめた。筋肉は弱り、医療処置による疲労がまだ残っていたが、痛みを感じる間もなく、身を隠したいという本能が湧き上がってきた。トラックが完全に停止したちょうどその時、僕はミアをキャンバス地の防水シートの深い影の中に引きずり込み、油で汚れた重たいシートを僕たちの体にかぶせた。
キャンバス地の破れ目から、景色を眺めた。僕たちはネバダ州周辺にいると大きい看板から知った。ネバダの荒野の端にある、風に吹きさらされた、骨組みだけの集落に立ち寄っていた。錆びたネオンサインが傾いた木の柱から斜めにぶら下がり、壊れた管がたった一つの単語を際立たせていた。
「孤独」
低い平屋根の土壁の家々の窓には明かりが灯っていなかった。一本の砂利道には人影もなかった。唯一の生命の兆候は、町の広場の中央にそびえ立つ金属製の柱から発せられる、耳障りな低い聞き覚えのある音だけだった。スピーカーの音が、砂漠の風に遮られながらも、低くブーンという音が聞こえてきた。
ここにもあった。ルーグが小屋の中で爆発させた爆風を感じた。毎日聴いたら気がおかしくなるだろう。突然、貨物トラックの運転席側のドアがバタンと閉まった。
重々しい足音が砂利を踏みしめ、車両後方へと近づいてくる。僕の体は純粋で混じりけのない生存本能に従って動いた。トラックの荷台の側面を滑り降り、ミアの胴体に腕を回して、下の土の上に飛び降りた。衝撃で、まだ治っていない膝に激痛が走ったが、僕は叫び声を必死に抑え込んだ。ミアの重い体をトラックの下に押し込み、 僕たちは、油まみれのエンジンの底に背中を押し付けた。頭の横では、分厚い革製のワークブーツが後輪のすぐ横に止まった。運転手は地面に唾を吐き、「南の方の電波状況が悪い」などとぶつぶつ言いながら、荷台の扉を開けて荷物を降ろした。僕はミアを見た。彼女の視線が変わって、僕の目をじっと見ていた。虹彩の下の青い光が、警告のサインのように激しく脈動し始めた。彼女の顎がぴくりと動き、唇が開き、喉の奥からかすかな、局所的な静電気の音がシューッと鳴り始めた。彼女が少しでも音を立てたら、僕たちは危ない。 僕は彼女の口に手を当てると、心臓が肋骨に打ち付けられるような感覚に襲われた。トラックの荷台の横から運転手の影が僕たちの頭の横を通って行った。 ミアの口に手を当てて何か変わるとは思ってはいなかったが、不思議と急に音が止まった。ミアの方を見ると心なしか嬉しそうな目をしているように見えた。僕だけが焦っているようで、腹が立ったと同時に心が少し楽になった。
どうですか? 長かったけどこれからバトルとか新たな仲間とか出して行きます。ここで質問です。 テデン♪
Q&A:バトルの後ほわわんとした日常パートか、それともシリアスか? 回答が多かったり、方にしたり、一つしかなかったら、それにします。是非コメント回答お願いします。




