第一章 17幕 「焦り」
気づくと本を開いたまま寝ていた。
隣には先に寝たドラがいる。
昨日のケルベロスを思い出す、いや、こべりついて離れない圧を感じる。
人生で、いや前世も含めてもこれ以上なくらいの恐怖。
本能があいつと戦うなと言っているようだ。
ドラが目を覚ました。何も言わずいつも通り朝支度をした。
ドラも迷っている。顔を見ればわかる。
ドラは覚悟を決めたように言った。
「攻略法、考えようか」
ゲート解放の条件がわからない。
どちらにしろ倒し切らなければダメなような気がした。
俺の能力がはっきりしない限り戦力どころか足手纏いなのも気になってしまう。
考えれば考えるほど諦めたくなる。
「私は、種族能力でドラゴンになれるよ」
ドラは不意にそう言った。
それで倒し切れるのだろうか。
焦って考えるドラを見て焦ってしまう。俺が止めなければいけない。このままじゃ無謀に戦ってしまう。
「今しかないんだよ」
「なんで」
「私は1ヶ月周期で角が伸び切って強制的にドラゴンになる。今日29日目、これを逃すともう間に合わないかも知れない」
店が潰れるというタイムリミットのせいで今やるしかなくなっている。
悩んだ。
──危険だと思ったらすぐ諦める。ワンチャンスだけだ
俺の条件にドラは二つ返事をする。
来てしまった。
中のケルベロスの存在を知ってしまっているので足がすくむ。
ドラも少し不安な顔だった。それでもドラは進んで行った。
今日地味だけど明日長めに行くので期待してください




