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第一章 18幕 『正面戦闘』

建物に入ると昨日と同じようにケルベロスが眠っていた。

これがこちらに唯一与えられたアドバンテージだろう。

一発目の攻撃で如何にダメージを与えられるかで戦況は一気に変わる。


衝撃・強化(ビッグインパクト)


ドラはハンマーを構え続けて、おそらくチャージを限界までしている。


ケルベロスが目を開くと同時にドラは振りかぶる。


とてつもない轟音が響き渡り、正面からの戦闘が始まった。


一発目で3つの頭の一つを気絶させ、アドバンテージは取れているが依然不利だろう。


ケルベロスが動き出すと、ハンマーをまともに当てるのは難しく、ドラは防戦一方になる。


出し惜しみはしない、遠距離でしか攻撃できない俺に与えられたのは、あり得ない大きさのランチャーである。


俺は残り2つの頭の片方目掛けてミサイルを放つ。

もう実力とか関係ない気はしたが見事命中し、その頭もダウンさせた。


それを見たドラはすかさず、手筈どおりに


「種族能力(アビリティ)・獣化」


ドラは眩い光に包まれると西洋風のドラゴンの姿へ変貌した。


ただし、ドラは獣化しても風の力しか使えないため、結局のところ殴り合いになってしまう。


ドラの動きはいつものように素早く、ケルベロスを翻弄する。

が、致命的なことがある。部屋のサイズだ。ケルベロスで7割くらい埋まった部屋でドラも獣化してしまうとかなりギチギチで、互いに被弾する我慢比べとなってしまっている。


ドラはひたすら引っ掻き噛みつきで攻撃するが、ケルベロスも噛みつき、対抗する。


こればっかりは見ていることしかできない。

ただの賭けであった。


するとドラの引っ掻きが綺麗に入った。

と、同時に獣化が切れる。


最後に残っていた真ん中の頭はダウンしていた。



ドラは俺に向かって微笑んだ。



瞬間、ドラは吹き飛ばされた。



ケルベロスは初めにドラがダウンさせた頭を復活させていた。しかし、最後の力を振り絞ったのかケルベロスは倒れ込んだ。


俺はすぐさまドラに駆け寄る。


壁にめり込見かけた体のあらゆる部分から血が流れ出し、呼吸も弱々しい。


「今、動かすと、まずいかも」

掠れた声でドラがそう言う。

「じゃあどうやって、」

最初の頭の再生速度から見るに、ケルベロスはもう時期復活してしまうだろう。


これでもパニックになっているようで、思考が巡らなくなる。


すると、

「私にりゅーの人生、半分くれる?」

ドラは少し顔を赤らめ、微笑んでそう言う。


「あげるよ、半分でも足りないならいくらだって」


声を震わせながらそう答えた。


ドラはニコッと笑い、俺の頭を近寄らせ、



口に口を押し当てた。


キスと言うには優しくない。


途端、全身が熱くなる。


頭に体験したことのない痛みが走る。


気絶しそうになるのを堪えてどうにか立っている。


そして次の瞬間には、俺はドラゴンになっていた。


死にかけのケルベロスに蹴りを入れる。

想像以上の衝撃でケルベロスは壁にぶつかり、大きな音を立てた。


たった数秒しかたっていないのに俺は元の姿に戻った。


角、生えてる。


自分の頭に角があるのを触って知る。


再びドラへ近寄る。


ドラは微笑んだまま目を瞑っている。


ドラに触れる。



呼吸と心臓の音が、なかった。


途端に全身に気持ち悪さが走る。

現実を受け入れられず、視界が揺れる。


ふらつきながら、部屋にあった砂時計が目に入った。


砂は重力に逆らっていた。


視界が真っ暗になった。



目を覚ました。

街中で座り込んでいた。

直前に吐き気の余韻を感じた気がする。


呼吸が浅くなる。

ドラの最後を思い出して、再び倒れそうになる。


倒れかけたその時、



ドラに支えられた。



「はじめまして、人間さん」




まず言っておきます、ループモノじゃないです

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