第一章 16幕 『世界を理解した日』
手っ取り早い、とは言えないな
ゲートを開放するにはそこにいる魔獣と正面からやり合うことになる。
正直戦闘は9割ドラに任せてしまっている現状で、俺から「やろう」とは言えない。
──この依頼、受けよう
ドラは迷いながらもそう言った。
「まず、一回様子見を挟む。それでどう?」
ドラは俺と変わらないくらい冷静な子だ。初めから心配は無かった。
「俺は止めてねーよ」
その日の昼、すでにゲートのある建物の前にいた。
この建物の入り口自体がドラゴンの血が流れた者にしか開けられないのだ。
──開けるよ
ドラは大きな扉を押し開けた。
するとそこには、3つの頭の犬、ケルベロスと呼ばれるであろうそれが寝ていた。
体は常に逃げる準備を整えたまま、部屋を見渡す。
目に入ったのは壁に寄せて置かれた机の上にある一冊の本だ。
本能で感じた。まずはあれを取るべきだと。
その思考はドラも同じなようで、風に乗って跳躍し音を立てず本の元へ行った。
そして一飛びで戻ってくると、
「一旦撤退」
俺がそう言って建物を出た。
外に出ると、2人はどっと汗をかいた。
あまりに冷静だった自分たちを疑問に思いほどの恐怖。ケルベロスが放つ圧を今感じた。
ドラの部屋に戻り、取った本を読み始める。
──そこには異世界、転生、関連するあらゆることが書いてあった。
──能力は自覚しなければ使い物にならないが、長所を伸ばすか短所を補助する力がほとんどである
──これは転移でなく転生であり、魂は廻らず記憶のコピーされた魂を元に肉体が構築され再び生まれる
──転生の条件は魂と肉体の適応度が90%未満で、悔いを残して死ぬことである
特に重要であろうこの情報たちは頭を離れない。
その日は眠れずひたすらにページをめくった。
転生の設定は半年くらい頭の中で考え続けてました




