21/25
術師の目的
式を飛ばす。
國の防衛システムに基づく監視装置に写った対象の元へ。
あらかじめ國の各地に式の媒介を設置し対象が接近したのと同時に顕現するように術を組んである。
写るのは灰緑青の髪に翡翠の瞳をした男。
半端な混ざりものだ。
そのくせ私の目的の邪魔をし続け未だ逃げおおせている。
それもこれも全部──
「ちっ。やっと傷を付けられたというのに、また燃やされたか。國の監視システムを誤魔化す程度の式神では対処できんな。……直接捕らえるべきか?」
いつも死角から現れた翡翠の炎により燃やされる我が式神。
夏の一族の中でも腕利きの者が術を使用している。
(それにしても仮にも私が組んでいる術だというのにこうも容易くあしらわれるとは……。)
あの、混ざりものの一族は厄介だ。
やはり一族の目など気にせず始末してしまうべきか。
(それに、あれもあの傷程度では死なないだろう。今のうちに止めを指しておきたい。)
『失礼。今よろしいでしょうか、今年の大祓についての英会の時間についてなのですが。』
扉越しの使用人に返事をし術を組む手を止める。
英会。
術師の家系が集まる会議を疎かにするわけにはいかない。
次期当主の身を選んだのは自分だが面倒が多い。
「今行こう。」
まあいい。
時間はまだある。
──どれ程の時間をかけても必ず成し遂げる──




