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テオロッド戦記—異世界転移した俺、式術世界で国家戦争に巻き込まれる—  作者: ヨダカカツキ
第二章

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エピソード・オブ・ミサキ テオロッドの家探し

タツオとの待ち合わせ場所は、王宮の入り口にある、

アウレオ=テオロッド像の前だった。

ここは、テオロッド市民の待ち合わせ場所として有名な場所である。

髭を立派に蓄えたアウレオ様の像の周りには、

同じく待ち合わせと思しき人たちが待ち人を待っていた。


この日のためにミサキは、マルカドールで買った服や装飾品で

がっつり着飾っていた。

ユイトに大半返品させられたが、お気に入りの何着かは残しておいたのだ。


冒険で来ている衣装は実用性優先なので味気ない。

髪もいつもより念入りにとかしているため、ツインテールもばっちり決まっている……ような気がする。


約束の時間の十分前に、タツオはやってきた。

性格的に遅刻を覚悟していたので意外だった。


タツオはいつもとそう変わらないシンプルな服装だ。

だが、またそれがいい。


「あれ?いつもと服装違うね」

タツオは、すぐにミサキの変化に気が付いてそう言った。


「いつもとちょっと変えてみたべ。……どうだべ?」

ミサキは照れを隠しながら聞いた。


「うーん、そうだね。馬子にも衣裳、ってやつかな?」

タツオは答えた。


……なんか褒められた気がしない。

むしろ、馬鹿にされた気がするべ。


ミサキはタツオの言った意味が分からなかったが、

あえて深堀しないことにした。


予定時間の五分前、レオニスから命を受けた従者がやってきた。

今日の家探しのエスコート役だ。


家探しの段取りは、ユイトに代わりタツオが事前にレオニスから聞いていた。

王宮近くの貴族街にある空き家から、条件に合うものを見繕っているという。今日内見するのは、そのうち三軒。


従者の案内に従い、二人はテオロッドの街並を歩いていた。

先頭を歩くのは、従者の男。

少し離れて、二人で歩く。


果たして、これはデートと呼べるんだべか……。

まあ、新婚夫婦みたいな気持ちで楽しむべか。

しかし、いざ二人となると緊張して話せないものである。


「こちらが、一軒目でございます」


従者が案内するのは、石造りの落ち着いた家。

二階建てである。外観の雰囲気は悪くない。

王宮や式術研究所からも歩いて五分くらいで、

生活するうえでは便利そうだ。


「部屋数は全部で三部屋ございます」


業者が言う。家に入ってみると、

広い居間があり、そこからつながる一部屋。

二階に二部屋あるようだ。


タツオは間取りを見ながら呟く。

「うーん……悪くないけど、ちょっと部屋数が足りないかな」


「足りない?」

ミサキが首を傾げる。


「うん。二人で住むには狭いよね」

タツオがミサキを見ながら言った。


ミサキの心臓が跳ねる。


ふ、二人分…!?


もう、一緒に住むことまで考えてるだべか。

それはちょっと、飛躍しすぎだべ……。

まだ手をつないでもいないのに……。

ミサキは顔を赤らめる。


「次の家に案内して」

タツオは、業者にそう言った。


二軒目は、日当たりの良い木造住宅だった。

庭もあり、平屋で土地が広い。

ただし、少し王宮からは歩く。

徒歩十分くらい。


「庭があるのはいいよね。野菜とかも育てられそうだ」

タツオは、庭にある花を見ながら言った。


「台所は?広い?」

タツオは従者と家に入っていく。


ミサキは、妄想する。

二人で野菜を育て、収穫し、料理する。

どんな料理がいいかを相談しながら、一緒に食事する。


あぁっ!もう完全に夫婦だべ。

まずオウシュウにいる両親と兄弟に挨拶に行かなければ!

みんな、驚くべな。


ミサキはタツオについて部屋に入った。


「ここ、部屋数は?」

タツオが業者に聞いた。


「平屋なので、先ほどと同じ三部屋ですね」


「うーん。ちょっと手狭かな」

タツオは首を傾げている。


狭い……?

まさか、その先の……家族計画を考えているだべか!?

子供は何人がいい?

とかそういう系の話だべか?


ああーっ!落ち着くべタツオ!

物事には順序というものが……!


ミサキのテンションは頂点へ到達する。


「うーん。次最後だっけ?そこ行ってみようか」


三軒目。王宮からは少し歩く。

徒歩十五分くらい。


「貴族が住んでいたんですけど、引退して田舎暮らしするとのことで、空き家になっています。ここは広いんでおすすめですよ」


土地は最も大きく、大きな庭もついている。

しかも平屋。贅沢な土地の使い方をしている。

中に入ると、業者が誇らしげに説明する。

家具や調度品もそのまま残っており、

すぐにでも住めそうだ。

大きめなLDK以外に、五部屋。


タツオは気に入った様子で頷いている。

「ここいいな」


「でも、広すぎねえか?掃除が大変だべ」

ミサキは言った。

声が浮ついている。


タツオが、指折り数える。


「寝室が二つ。作業部屋が一つ。

来客用が一つ。あとは……物置かな」


「ん?し、寝室は……一つでいいべ?」

勇気を出し、ミサキは言った。


「え?ユイトは分けたいっていうと思うよ」


「……え?」

ミサキは思考が止まった。


「ん……?」

タツオもはて?という顔をしている。


そしてミサキは自身の盛大な勘違いに気づく。


ああああああああああああ!!!


叫びだしたいし、

穴があったら入りたい!!

恥ずかしさの勢いに任せて、ミサキは言った。


「部屋が余ってるなら私もここに住むべ!!」


完全に勢いである。


「え?まあ……広いし、いいか」

タツオは了承した。


──軽い。

あまりにも軽い。


ユイト……!

ガンガンいった結果……

結果オーライ、だべ。


……手ごたえはないが。


こうして、三人のルームシェアが決定した。


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