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Noisy Energy ノイジー・エナジー  作者: 小鳥乃きいろ
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#4 高速コーナー #再会の筑波 その二

#再会の筑波 その二


 アタシはまだ新しい革の匂いがするレーシングスーツに身を包み、同じく内装の接着剤の匂いも新しいフルフェイスヘルメットをかぶって、走り慣れたNSRに乗り、初めて走る筑波のピットロードに並んでいる。

 ドクン。ドクン。

 自分の心臓の音が周りのライダーに聞こえるんじゃないかと思うくらいドキドキしていた。

 ハァ…ハァ…ハァ…。

 アタシのマシンも周りのマシンもエンジン音と排気音がうるさいはずなんだけど、不思議と自分の呼吸の音が一番気になった。

 翔吾が目の前に並んでいるけど、緊張しているのか、集中しているのか、後ろを見ない。アタシが後ろを振り返ると、同じ走行枠のライダーが、次々とピットロードに並んでいる。概ね出揃ったところでコースに出た。


 タイヤウォーマーを使っていないので、二~三周は温めないといけない。それにコースを良く見てアタシのラインを見つけなきゃ。翔吾の後について行き、大体タイヤも温まってきた三周目、スタンド前のストレートで翔吾が振り返って左こぶしを突き出し、親指を立てた。

 まったくもー。嬉しいじゃないの!自然と口元が緩んでしまった。アタシは緊張してたことも忘れて、全開で加速するR25を追いかけて1コーナーに飛び込んでいった。


 ボォーン!

 パァーン!

 アクセル全開でホームストレートを駆け抜ける。コントロールラインを通過すると、ピットの出口手前から右カーブの1コーナーへの上り坂。翔吾の真後ろについて行く。抜ける感じがしたけど、しばらく翔吾に引っ張ってもらおっ!


 バゥーン!バゥーン!

 パン!パゥーン!

 1コーナーはホームストレートからスリップストリームを使った後のブレーキング競争で抜きどころの一つだ。ラインをクロスさせてS字への立ち上がりで抜くのもアリだ。


 ボォァーン!ボォー!

 パァーン!パァー!

 1コーナーを立ち上がると緩いS字コーナー。

 ギャウッ!ブンッ!

 ブンッ!

 ほとんど直線みたいだけど、全開で左へ右へとS字を切り返す。切り返すとすぐに左カーブの第一ヘアピン。


 バゥン!ボォー!

 パンッ!ビィー!

 アウトから立ち上がり重視でいくか、真ん中からインを取るか。相手がいるとライン取りに悩むところだ。筑波のヘアピンはバンクがしっかりついているから、アウトからインに入ると、すり鉢の底に降りていくみたい。

 ザリッ!

 カリッ!カリカリッ!

 ヒザをする感じが楽しくて、ニヤニヤしちゃう。


 第一ヘアピンを立ち上がりアクセル全開!

 ボォー!

 パァー!

 ダンロップブリッジがあっという間に近づいてくる。筑波は二輪と四輪でここだけ違うコースになる。四輪は右カーブのダンロップコーナーの外側を抜け、左80Rコーナーから第二ヘアピンへ続く。二輪はダンロップコーナーの内側をハードブレーキングからフルバンクで深く抜ける。


 カリカリッ!ブンッ!

 ブン!カリカリカリッ!

 すぐに左へ切り返してフルバンクしてのアジアコーナーだ。カーブはキツめだけど、立ち上がりから第二ヘアピンへのほぼ直線の区間が長いから、立ち上がりはアクセルをワイドオープンから全開へ。


 ブァーン!ボォー!

 ビィーン!パァー! 

 第二ヘアピンは長いバックストレッチへの立ち上がりが大事。

 ギャウンッ!バゥーン!ザリッ!

 グググッ!パンッ!ペタリ。カリッ!

 しっかり減速して深いクリッピングポイントからのアクセル全開!


 ボォーン!ボォーン!ボォー!

 パァーン!パァーン!パァー!

 バックストレッチ!第二ヘアピンで先行車のテールについたライダーはここでスリップストリームを使って追い抜きを仕掛ける。

 問題は最終コーナーの突っ込みで、大排気量クラスだとブレーキングできっちり減速するけど、250ccクラスだとブレーキングはあくまでも速度調整でガンガン突っ込んでいく。


 ククッ!ゴォー!カリッ!カリッ!

 普通の周回なら最終コーナー出口の立ち上がりも大事だけど、コントロールラインまでの距離は短いので、最終周回はコーナリングスピードを重視する必要がある。

 とは言え、今はフリー走行だ。翔吾を抜く!最終コーナーで翔吾の後ろにピタリとつけると、立ち上がりでスリップストリームに入る。翔吾もその辺は分かっているのか、ホームストレートで一度コースの真ん中にマシンを持っていく。インから差すのを嫌がっている。


 ゴォー!

 カウルに伏せていても大気が翔吾の行く手を阻んでいる。アタシは翔吾の影に隠れてアクセルにはまだ余裕がある。

 よし!

 パァーン!

 アタシはアクセルを全開にして翔吾のテールを掠める様にインから抜きにかかった。

 翔吾の影から出た途端に大気がアタシの行く手に立ち塞がる。それでもスリップストリームで温存したパワーとツーストエンジンのパンチ力で、アタシとNSRは大気を切り裂いて進む!


 あっという間に翔吾の横に並ぶと、1コーナーの入口が迫る!

 ここはブレーキング勝負だけど、車重の軽いNSRに分があった。

 ギュワ!

 グググッ!スパッ!

 アタシは翔吾に一瞬遅れてブレーキングを開始したけど、その一瞬が勝負を分けた。アタシは1コーナーのインに先に飛び込んでフルバンク!


 ザリザリザリッ!ビリビリビリ…。

 路面にヒザを擦り付けてバランスを取るとリアにしっかりトラクションをかけてマシンも安定させる。そこから1コーナー出口でアウトいっぱいに立ち上がる!

 パァーン!

 ギュギュワ!パァーン!パンッ!

 S字を切り返し、インを締めて第一ヘアピンに真ん中から進入する。立ち上がりでチラッと振り返ると、翔吾はアタシに食らいつこうとオーバースピードでヘアピンに進入し、立ち上がりでリアを滑らせてコースアウトしたところだった。


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