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Noisy Energy ノイジー・エナジー  作者: 小鳥乃きいろ
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#3 Sカーブ #潜入

ノイジー・エナジー  #3 Sカーブ


#潜入


 アタシと翔吾が公園で待っていると、しばらくして吉野先輩と夏子のゼファーが現れた。吉野先輩は慣れないマニュアル車で最後にエンストし、危うく立ちゴケするところだった。

 とりあえず、落ち合えたが問題はここからだ。

「かねてからの作戦通り、翔吾とちえりは犯人達を足止めして。私と夏子は警察に通報して、ここから指揮をとる。問題ないね?」

 翔吾とアタシはうなづいたが、夏子が少し心配そうだ。

「盗品のバイクを確認したいですね。」

 夏子が言うには警察を呼んでも捜査令状でも無ければ踏み込むことが出来ない。

「俺は一発殴りたいぜ。」

 アタシはウンウンとうなづいた。

「ダメだよ。どうしてもと言うなら、一発殴られてからにして。正当防衛になる可能性があるから。」

 え~、それは痛そうでヤダな。

「とにかく、盗品のバイクを見つけたら、警察に通報する。あと、奴らに見つかった時も、警察に通報する。これ以上は譲れないよ。」

 全員合意して、探索作戦開始だ。


 アタシと翔吾は注意深く、追跡装置が示している倉庫に近づいた。目の前に元『バイクの玉子様』のトラックがあった。元と言うのはその文字が電話番号を残して消してあるからだ。トラックの荷台は空で、積まれていたバイクはどこかに行ってしまった。恐らく倉庫の中だろう。追跡装置がそれを示している。

 アタシと翔吾はトラックに近づくと、運転席を覗いたが、誰も乗っていなかった。

「先輩、トラックは空で、倉庫の中に追跡装置があります。中入ります?」

 そして、倉庫を見るとシャッターとドアがあった。足音を忍ばせてシャッターの前に進む。シャッターの前にはバイクのタイヤの跡が薄く残っている。恐らくタイヤについた土の跡だろう。シャッターの中からはなんの音も聞こえなかった。

「開かねえな。」

 翔吾はドアノブに手を掛けて回そうとしていたが、鍵が掛かっているようだ。ノブが回らない。よく見ると、ドアの横にカードリーダーとテンキーボタンの並んだ装置が付いている。


「吉野先輩、セキュリティシステムがあるみたいだけど。どうしよう。」

 公園で指揮している吉野先輩に指示を仰いだ。

『それは厄介だね。でも多分番号を正しく入れれば開くと思う。カードリーダーは中に人がいない時に使うはずよ。』

 アタシは番号に心当たりがあった。

「試してみていいですか?」

『一度か二度くらいは大丈夫だと思う。それ以上はアラートが鳴るはず。』

 それなら、やってみよう。アタシは慎重に番号を押した。

 カチャリ。

 解錠されたような音がした。ドアノブが回る。

「先輩、開きました。」

「マジか?」

 隣にいる翔吾も驚いた。

『晴海、隙間を開けて中を見て!長い時間ドアを開放すると、アラートが鳴るよ。』

 アタシは隙間から覗いたが、中は明るくて何かの棚のようなモノが並んでいるのが見えるけど、人は見当たらないし、気配も無い。

「中に入ります。翔吾も姿勢を低くして、急いで静かにね!」

 アタシと翔吾はドアの隙間から、倉庫の中に滑り込むとドアを閉めた。

 カチャリ、と音がして施錠された音がした。


 翔吾が何か言おうとするのを手で制すると、しばらく動かず周囲の音を聞き、気配を窺っていた。微かに空調か換気扇の音がする以外は何も聞こえない。

「さっきの番号はね、トラックに書いてあった電話番号だよ。」

 翔吾が気になっているようだから、タネ明かしをした。

「なるほどね。店の名前は消しても、暗証番号を忘れたら困るから残しておいたのか。でも、それくらい覚えろよって感じだな。」

 そこへ、吉野先輩から連絡が来た。

『諸君、不法侵入成功おめでとう。これで君達は晴れて犯罪者の仲間入りだ。』

 余計なお世話だ。

『盗まれたバイクは見当たらない?』

 アタシと翔吾は辺りを見回したが、見当たらない。


「これは野菜かな?」

 翔吾がズラリと並んだ棚に生えている葉っぱを見て言った。

『鮮度のいい野菜を屋内で栽培するところは珍しくないよ。ここは市場も近いし出荷に便利だから。』

 吉野先輩が翔吾の言葉を受けて説明してくれた。ふーん、そういうモンなんだ。

「夜も明るいんだ。よく育つため?」

 なんだか、土と緑のせいか空気がいい気がする。

『夜も光合成させるんじゃ、酸素たっぷりじゃない?』

 そういうことか。

「それはいいからバイクを探さなくちゃな!」

 翔吾がバイクを探しにあっちこっち回っている。アタシも探してるけど、野菜の栽培の棚しか見当たらない。


「ほんとにここなのかな?」

 吉野先輩が怒り出した。

『何を言う!追跡装置は結構精度が高いんだからね!あんた達の探し方が悪いんじゃないの?』

 ムッ、そう来るか。

『よし、最後の手段よ。今から追跡装置を呼び出すから、何とか見つけてね。』

 呼び出す?と、着信音が鳴り始めた。ああ、なるほど。って、早く探さないと、奴らに聞こえるかも!

 アタシはどこから聞こえるか、方向を探った。シャッターに近い辺りから聞こえる。しかも下から。この倉庫に地下がある!音の大きいところを調べたら、栽培用の棚の隙間にハッチがある。とりあえず、開けて中を覗いた。やはり、薄暗い地下にバイクがズラリと並んでいる。その中に見慣れたスクーターがあった。

「翔吾のマグザム見つけたよ!」

 近くを調べていた翔吾がバイクを下に下ろすリフトを見つけた。

『よし、証拠が揃ったね。警察を呼ぶよ。』

 突然、反対側にあったドアが開いた。

「何の音だ!」

 出てきたのは金髪と手下の二人だった。


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