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第九十二話 告白?

「聞かせて頂戴、その条件とやらを」


「条件は・・・あ ちょっと待ってもらっても良いですか?」


「どうぞ」


「あ、ありがとう、ございます」


 そう言うと僕は姉崎さんの方に向き直る。僕が急に向いたから姉崎さんは一瞬怯んだようにビックリしたが、それでも怯まずに言葉を返す。


「な、何よ?」


「そのー、改めて聞きたかったんだ。姉崎・・・さんはどこまで僕に付き合ってくれるのかな?って」


 まだ意味があまり分かっていないような複雑な表情だったので僕は続けて問いかける。


「その、なんて言うのかな。僕の目指す場所は多分だけど人生を賭けなくちゃ行けない場所・・・だと思うんだよね」


 何故だかスラスラといつもの僕とは思えないほど言いたいことが言える。


「正直僕は、これまで内心姉崎さんに文句ばっか言ってたんだ。けど、なんだかんだ姉崎さんが居てくれたおかげでレベルも上げることができたし凄く心強かった」


 姉崎さんは珍しく黙って僕の話に聞き入っている。いつもなら途中で遮ったりしそうなもんだけど、なんでだろ?


「だけど・・・」


 さっきまでスラスラ出ていた言葉が急に詰まる。


「だから・・・あれ? ごめん、えと」


 何を言いたかったのかよく分からなくなって頭の中がぐしゃぐしゃになって焦りが出始める。


 それを見兼ねた姉崎さんが、正に鶴の一声をかける。


「あたしに、どうして欲しいわけ?」


「え? いやどうしてって言うか、これ以上付き合わせるのは悪いって言うか……」


 鶴の一声も無碍にする僕を見てすかさず姉崎さんは声を荒げる。


「だから、あたしにどうして欲しいか聞いてんの! シャキッとしなさい!!」


 そう怒鳴られ、僕は咄嗟に右手を差し出して腰を90°折り曲げていた。


「は、はい! えと、ぼ、僕と一緒に人生賭けてください!!!」


 あ


 言ってしまった。本当はこれ以上僕に付き合う必要ないって言うつもりが、思わずこうだったら良いなっていう願望を思いっきり口走ってしまった。


 すると今まで蚊帳の外だった先生が驚きの混じった声で


「オー、若さって良いわね」


 え?


 頭の中は疑問符しか浮かばない。僕の今の状況、何か変か? 僕は先程のセリフと今の僕の姿勢を思い出してみる。


「・・・!?」


 僕は咄嗟に上半身を起こしすぐさま弁明する。


「あ!?いや、これは、決してそう意味じゃ・・・」


「まずは、ありがとう。あたしの事そんなふうに思っててくれて」


 弁明する前に姉崎さんが話し始めてしまう。話を遮って誤解を解きたいがなんで言えば良いか思いつかない。頭がパニックになって正常な判断が出来ないでいた。


「でもごめん。アンタとはそんいう関係にはなれないわ」


 思考が完全に停止してしまった。別に告白する気なんて無く僕の言い回しと動作でそれっぽい事になってしまっただけなのだが、敢え無く撃沈してしまった。


 告白してないのにフラれてしまった。


「ああ、別に勘違いすんなよ綾瀬。彼氏彼女にはならないけど、アンタの目的には最後まで付き合うから安心して」


 オメェだよ勘違いしたのは。僕は心の中で泣きながらそう呟いた。


「ん、んっ」


 僕のあまりの悲惨な姿に耐えかね先生が場を仕切り直してくれた。


「そろそろ良いかしら? 綾瀬くん。条件とやらを聞かせて頂戴」


「え? あ、はい」


 僕は放心状態のまま先生との交渉を始めた。

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