第九十話 尋問2
「え、えっとー、それで話って、何ですか?」
姉崎さんとの訓練を終えた直後、岡田先生に呼び止められ放課後職員室に来るよう言われてしまい、仕方なく僕だけが学校に残る羽目になってしまった。
姉崎さんが帰ろうとする途中僕にこっそり「余計なこと言うなよ」と耳打ちしてきた時は、流石の僕でも殺意が湧いた。
(誰のせいでこうなったと思っているだ)
「よく来たわね、ここじゃあ何だから場所を変えましょう」
声を掛けてすぐにそう言って僕を連れて、この時間というか今まで使ったことあるのか?と疑問に思う廊下の端っこにある教室に連れてこられた。
「ここでなら邪魔は入らないわね」
え!? ま、まさか僕にあんな事やそんな事するために、ここに連れてきたのか!?
いや確かに僕だってそんな経験はないから、そういうことに興味が無いわけじゃないけど相手はちゃんと選び…… いや、僕の場合そんなこと言ってる立場ではないかも。
僕って喋るのとか凄く苦手だし、何なら異世界でいつ死ぬかわからないし、それに岡田先生だって別にタイプじゃ無いだけで、そのー…… ね!
だったらもうここで捨てるもん捨てて、悔いがない状態になってアイツを探しに行く方がいいような気が、いや、断然いいに決まってる!
よ、よし! バッチこい!!
僕は心でそう叫んだ。
「じゃあ、そこに座って」
「は、はい」
心臓がバクバクで破裂しそうだ。
「あなたには」
アイツ、確かそんな経験はないとかまだ捨てれてないとか言って俺たちは仲間だ的なこと言ってたけど、アイツに会ったら言うこと、じゃない。謝らないといけないな。
「いくつか聞きたいことがあるの、単刀直入にあなたとそれから姉崎茜さん、2人はなぜ一緒に異世界に行ってるの?」
うん。知ってた。別にがっかりしてないし。最初から岡田先生が僕たち2人のことを意識してる感じがしてたから最初から怪しんでたし。
・・・嘘です。正直メッチャ期待してたし、メッチャ恥ずかしいです。僕は周りとは違う冷めた人とか思ってすみませんでした。
どんな崇高な使命を持っていても男の子は性欲には勝てない。人生の学びを得た瞬間だった。
「大丈夫?」
「あ、いや、えと、大丈夫……です」
「そうなら良かった、じゃあ私の質問に答えてもらってもいいかしら」
そうだふざけてる場合じゃなかった。でもどうしよう、ここで黙ってるのも答えを言っているようなものだ何か、何か言わないと。
「えっっと、あのー、あ、いやー、そのぉ」
ダメだ、普段から喋るの苦手だからこんな時喋れるはずない。
「本当に会話が苦手なのね、ここまで喋らないとは思ってなかったわ」
「あー…… すみません」
何だよその言い方。僕もなんで謝ってるんだよ。
「でも、やっぱりあなたに声をかけて正解だったわ」
「は、はぁ、そうですか?」
何を言ってるんだこの人は?
「反応で丸わかりよ」
「え?」
「まあ、コレに関しては聞く必要は無いのだけれど」
やっぱりバレてたんだ、質問したのは僕の反応を見て確信するためだったんだ。やっぱり姉崎さんのせいで……
「私のちょっとしたスキルのおかげであなた達2人のマナが他より多いのは気付いていたのよ」
「え、それって」
「だけど2人で一緒に向こうに行ってるかは分からなかったんだけど、あなたの反応で確信したわ」
…… ごめん姉崎さん僕のせいでした。謝ったら許してくれるかな。
「私がこの学校に来たのはちょっと気になる事があったからなの あなた達2人を選んだのはこのクラスである意味浮いた存在だったから目をつけたの」
「な、なるほど そ、れで気になる事というのは?」
「今度はちゃんと答えてね ズバリこの学校で起きた未曾有の大事件『虚無』発生事件について答えてほしいの」
「……!」
「どうやらビンゴのようね、やっぱり私の勘は当たるのよね」




