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第八十九話 不審

 今週から僕たちの担任兼訓練の教官という子供には分からない激務も務める事となった岡田先生だが、元々気難しそうな研究職に就いていた事もあり最初はクラス全体が一抹の不安を抱えていたが。意外にも授業はわかりやすく、訓練の時の指導も的確で翌日には皆が岡田先生を支持していた。


 調べてみると、岡田先生は業界では結構変わった人で有名だった。研究職、つまり想像で申し訳ないが、コーヒー片手にパソコンやホワイトボードを眺め、何を見ているのかさっぱり分からない顕微鏡やよく分からない液体の入ったフラスコをクルクル回してる、そんなイメージだったが。この人はそんな想像とは全く違った人物だった。


 戦闘専門の調査員と一緒に、何なら1人でも危険なエリアにズカズカと自ら足を踏み入れるバリバリの武闘派研究員でレベルは既に2後半、もう直ぐレベル3に差し掛かるらしい。


 現在日本の最高レベルは4。世界的に見たら一歩及ばないレベルだが、日本の最高峰と大体1レベルしか変わらないと思えばこの人がどれだけ上澄みか分かる。


 それと忘れてはいけないのが先生の本職は研究だと言うこと。高レベル地域に行けるレベルではないので新しい発見こそ少ないものの、既存の情報をいくつもアップデートしここ10年近くの日本の異世界調査に多大に影響している人物だ。


 僕たちが使ってる異世界訓練教本にもよく見れば名前が載っているほどだ。顔写真が載っていなかったので最初見た時「教科書の人だ!」とはならなかったが。



 だけど、僕はそんな凄い人物である岡田先生をどこか不審に思っている。


 というのも、最初に集会の時に目が合った時、僕は気のせいだと思っていた。偶々、偶然、不意に、目が合っただけだと思っていたが、僕と同じように目が合った人がいた。


 姉崎さんだ。


 姉崎さんも僕と同じように集会の時に目が合ったらしい。まあ、あれだけの人が集まればそう言うこともあると思え気にしていなかったが、なんて言うか僕にはそれが偶然に思えなかった。


 ここだけの話、僕と姉崎さんは頻繁に異世界に行っているため、実は既にレベルが2になっている。


 訓練では一緒に(不本意だけど)ペアを組んでいるからマナの差による実力差でレベルがバレる心配は無い筈なんだけど。


 いや待てよ? 姉崎さんが訓練中たまに、いやしょっちゅうスキルを暴発させてるからその破壊力でバレたのか? 先生は現役バリバリの武闘派研究員だ、そういうところから見抜かれてもおかしくない気がしてきた。


 うん。絶対そうだ。そうに違いない。今日の訓練は最新の注意を払うよう姉崎さんに伝えておこう。


 そして……


 僕の忠告虚しく、姉崎さんは訓練中スキルを発動したのだった。


「綾瀬くん、ちょっと良いかしら?」


 にも関わらず僕が呼び出されるのだった。

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