第八十八話 そんなもん
いつものように学校に登校しいつも通りに机に突っ伏して時間を潰して変わらない日々を過ごしているが、今日はいつもと雰囲気が違う。
それもそのはず、昨日の昼頃になんと、再び超大規模なマナ性衝撃波が観測されたのだ。
1度目はただの偶然に思えたが、この短期間で2度目ともなると異世界に片足踏み込んだだけの半人前の学生達ですら流石に不安を覚える。
原因は一体何なのか?がこの話題の半分以上を占めている。天変地異とか化け物が生まれた、もしくは暴れてるなど確かめようの無い憶測が教室中を飛び交っている。
だが、やはりと言うべきか、中にはこんな意見もある。「異世界にこれ以上関わらない方が良いのでは?」だ。
この学校に進学した時点でそれなりの覚悟はして来ていただろうが、その形骸化した覚悟がここにきて崩れ始めた感じだ。
だけどそうなるのも無理もない。今では異世界での死亡率は40年前と比べてかなり低くなったし、それこそ交通事故に遭うようなものだ。無秩序だったあの頃と違い今では知識、経験、物資、ルールいずれも豊富に蓄えられているため『その』覚悟が形だけの物になるのも仕方ない。
既に他のクラスには中退者が数名で始める始末だ。
異世界は今や未知という魅力的なモノから得体の知れない不気味なモノに変わりつつあるのかもしれない。
気付くのが遅えよ。
誰にも聞こえない声が思わず漏れる。
・・・
2度目の超大規模マナ性衝撃波…… 興味深い。
岡田は校内の廊下をツカツカ歩きながら1人考えを巡らせる。
今回の観測で分かったのはあの赤い空と衝撃波は必ずしも因果関係にある訳ではないこと。
終焉と揶揄されてはいるが、あの世界の終わりみたいな光景とマナを揺らす特殊な衝撃波は別々の要因で起きた事と推測出来る。
だが今回と前回で一致している部分もある。それは……
胸騒ぎや悪寒のような所謂嫌な予感と言うものが、急激に襲い掛かってくるということ。今回も例に漏れずその嫌な予感のおかげで犠牲者は出なかった。
マナ衝撃波は発生もしくはその準備段階で生物に対して極めて強力なストレス負荷を掛けることが予想される。でも一体何故そんな機能が備わっているのかしら?
「………………」
この学校に赴任したのはもしかしたらミスだったかも。
マナ衝撃が起きたということはマナの境目が変化している可能性が大いにあり得るといこと、つまり運が良ければ我々もレベル6の調査、もしくはそれ以上のレベルの可能性だって…… ああああ!もう!
表には出さず自分の想像で自分の頭をポカポカ殴りつける。
こんな事だったらもう少し待っとくんだった。異世界で何か想像もつかない事が起きてるのは明白じゃない! もう、何してるのさなえ!…… ハァ。
想像もつかない事だから予想出来るわけ無いか…… もうここまで来てしまったのだから仕方ない、取り敢えず助手くんに連絡して境界のズレがないか調べさせておこう。
まあ、こんだけ文句を言ってはいるものの、強ちここに来たのが間違いと言うわけでもなさそうだ。今回の騒動が無ければ自分の直感を信じてここに赴任してきた自分を褒めてやりたいくらいだ。
ベストなのは今回のマナ衝撃波で生じたエリアの境目をじっくり調査してから、この学校に来るのが1番良いシナリオの為、過去の自分に賞賛はしない。
今だけ自分の即断即決の性格を悔やんでしまう。
さ、文句はこれくらいにして、こっちもそろそろ本題に入りましょうか。
でもなぁ、勿体なかったなぁ〜、ああああ!もう! バカバカバカ! さなえのバカ!!
普段キッチリしてる人でも内面は大体こんなもん。




