第八十五話 憂鬱な日々
「ハァ・・・」
もう何度目かもわからないため息が溢れる。数を数える様なものでもないけど、ここ数ヶ月毎日毎日来る日も来る日もハァハァと吐き続けている。
何かしらの精神疾患を患ってそうだけど、病院に行っても特に異常は無く極めて健康だった。もしかしたらこの今の状態が僕にとっては平常、プラマイゼロで、アイツがいてくれた時がプラスだっただけなのかも。
ため息の原因は僕でも見当がつく。姉崎さんだ。
なんて言うか…… 常に主導権を握られて僕はその言いなりになっていることだ。
意見を言おうにも自信が無いせいか姉崎さんの意見が正しく感じて言い返せないし、異世界でなんとか活躍しようにも攻撃スキルを持ってる姉崎さんが主軸で僕はサポートや囮で見返そうにも見返せないしで踏んだり蹴ったりだ。
正直こんなに文句を言いつつも効率が上がったのは事実なので仕方ない。僕1人だったら今頃病院か土の中だった訳だし。
まぁ、これはあくまで原因の3割くらいで本当に困るのは……
「遅えぞ綾瀬」
「あ、おはようご・・・ おはよう姉崎…… さん」
「はよう、てかさん付け」
「すみません……」
「ま、良いけど じゃ、また後で」
周りから鋭い視線が向けられ僕に突き刺さる。数少ない女子生徒で顔も抜群に可愛い姉崎さんと会話する僕を羨まし、いや、恨めしがっているみたいだ。
これが親しく話してるように見えるのか?…… まぁ見えるか。
姉崎さんは誰とでもフレンドリーに話す男子たちにとって太陽のような存在だ。課題でわからない事があったり、話題の動画とか番組みたいな他愛もない話にも気さくに話してくれる。
これらに共通するのはあくまでこちらから姉崎さんに話しかける、と言うことだ。何が言いたいかと言うと姉崎さんから積極的に話しかけられることは男子にとって結構レアなイベントなのだ。
それなのに僕は毎朝登校するたびに姉崎さんに話しかけられるため、クラスの男子達からあまり良い印象を持たれていない。寧ろ急に僕と姉崎さんが親しくなったことで変に邪推する輩も多い。
かと言って、この前の真田くんみたいに馴れ馴れしくプライベートの事を聞き出そうものなら容赦無く冷たくあしらわれる。
そのため、ちょくちょく僕に親しくも何ともない者たちが話しかけてくるのだ。
ハァ
僕が返答に困り吃ってしまった時の彼らの表情はもう2度と見たくない。
これがここ最近僕を悩ます元凶だ。
僕も男だ、姉崎さんみたいな可愛らしい女子に話しかけられ嬉しくない訳ではないけど、僕にとってはその嬉しさよりも変な噂や陰口を叩かれる事の方が気になって仕方ない。
当の姉崎さんは「関係なくね?」の一点張りで僕とはおそらく違う生物に違いない。
いつも通り大人しく席につき時間が来るまで机に突っ伏して時間を潰す。
こんな事で果たしてこの先やっていけるのだろうか?
ハァ……




