第八十話
案外やってみるもんだな。
俺の手(正確にはスキルで生やした腕をコイツが操作してるから俺の手では無いが)には二本の武器が握られている。
武骨で巨大な厳つい両刃剣とそれをそっくりそのまま黒く塗り潰した両刃剣だ。
だが似ているのは何もシルエットだけでは無い。武器自体に内包されたマナの量、質そして…… 備わっている能力までも完璧に模倣されている。
俺が以前試みた方法、暗示と生成を組み合わせて魔道具擬きを作る方法でこの両刃剣を作るのは、多分難しい。出来たとしても、ただ浮いて飛んでって防御してくらいの物になってしまうだろう。それでも十分だと思うが。
この両刃剣の不思議なところは、何と言ってもその攻撃力。マナの量だけで言えば遺跡の連中とそう変わらないこの武器が何故か俺の体を断ち切る攻撃力を備えている。
ハッキリ言って、遺跡の連中と同じマナの量なら、スキルでもない限り俺の体が傷つくことは、ましてや斬り飛ばされる事など以ての外だ。
『鑑定』が無いから確認は出来ないがこの並外れた攻撃力が能力の一つであるのは間違いない。
そして、今俺が作り出したこの模倣両刃剣もオリジナルと全く同じ能力を備えている。
両刃の制御を任していいか?
オッケー
じゃあ…… 行くぞ!
音を超えて走り出し、あっという間に眼前に迫る。勢いのまま殴りつけるが、やはり障壁のような壁が張ってありこちらの攻撃が到達しない、がマナ操作で腕を重点的に強化していた為、障壁に指先だけがめり込む。
俺はそれを逃さず強引に障壁を抉じ開ける。それを黙って見ているほど奴も甘くない、すぐさま光球が展開されるが一瞬にして切り落とされる。
念動力で吹き飛ばそうとするが、何も出来ない空中と違って障壁を掴んでいるため俺を引き剥がすことはできない。
右腕は既に使えないため手首を切り落とされズタズタにされた左腕で俺を払い除けようとするも、飛んできた両刃剣に弾かれる。
その瞬間奴を守る障壁が音を立てて崩れ去り、無防備になった奴の顔面に一発目に喰らわせたモノより強力な一撃をお見舞いする。
そのニヤけ面、消し飛ばしてやる!!
隕石でも落ちてきたのか錯覚する衝撃と爆発音に似た轟音と共に奴の体が後ろに倒れ始める。
更に追い討ちをかけるように二本の両刃剣が高速回転しながら奴の首に殺到し、肉や体液や何やらを飛び散らせ奴の首を切り落とした。
奴は足元の黒いドロドロに段々と沈んでいき、あれ程デカかった体ももう半分は沈んでしまっている。
辺りが少し明るくなり、徐々にドームが薄れていく。
まっこんなもんか。後はここを出る方法だけ……
突然、誰かが手を叩いたような乾いた音が響いた。その瞬間、俺は再び奴と対峙していた。
え……
俺は未だ暗い空間にいて、目の前には先程倒したはずの奴が佇んでいる。よくよく見るとズタズタにした両腕は元通りになって、あたかも今まで何事も無かったかのよう。
俺もそこまでバカじゃない。
これは所謂、フィクションの世界でよく見る……
……時間の巻き戻し。反則だろ、そんなの。




