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第七十九話

 火蓋は何の前触れもなく突然切られた。お互い示し合わせたかのように一方は虫を潰すように掌を振り下ろし、もう一方は弾丸よりも速く飛びかかった。



 俺に向かって腕を振り下ろすも、衝撃と煙が舞う前に、既に俺は奴の眼前に迫る。そしてそのまま加速された拳を問答無用にお見舞いし、薄気味悪い顔面を陥没させる。姿勢が大きくのけぞりそのまま後ろに倒れそうだがそうはならず、陥没した顔面が元に戻り未だあの気色の悪い顔を向けてくる。


 結構良いのをくれてやったが、これで終わりって雰囲気でも無さそうだ。ん?


 ふと自分がいた所を見ると煙が晴れ、姿を現したのが黒くドロドロに溶かされた地面だった。黒いドロドロに触っても俺の体に異常は起きなかったが、直接触られるとなると無事でいられるか自信が無い。


 要注意だな。


 だが、妙な事に未だ俺は空中を漂っている。確かに勢いよく飛び出しはしたがコイツの…… オイ! 違うお前の事じゃないって! コイ・・・いや、いくら俺でも奴に一発入れた時点で進み続けるほど頭おかしくは無い。てことは。


 空中に居ながら何かに引っ張られるように勝手に体が後ろに動き出す。


 景色が素早く流れたと思うと流れが急停止すると共に背中に衝撃が走りそのまま壁に埋もれる。この手のダメージは特に無いが厄介な事に変わりない。


 素早く体勢を立て直し飛び出すも、奴が右手を向けるだけで推進力が急速に失われ壁まで押し込まれてしまう。


 前に進めねえ『念動』か何かか? だけど、舐めんじゃねえぞ。


 奴の死角となった突き出した右手の陰からいつの間に投擲された両刃剣が高速回転しながら迫り、その勢いで人差し指を切り飛ばした。


 鈍く破裂したような音を立てながら奴の指は宙を舞い、気が逸れたのか謎の念動力の出力が落ちる。


 今だ!


 壁から抜け出し、今度は地を蹴って奴に迫る。結構離れたが俺にとっては一瞬で間合いを詰められる距離だ。


 四足で駆け出し奴の懐に潜り飛び上がる。


 先ずは奴の武器を奪う!


 俺が狙ったのは奴の右腕。勢い任せに奴の右腕を蹴り上げ関節を本来曲がらない方向に曲げる。


 両刃剣は目的を失い俺のところまで戻って来るが、コイツが受け止め再び投擲し、俺も奴の右腕を足場に跳躍。狙うは左手。


 両腕を捥がれればキモいドロドロも出せなくなるだろ。


 投擲された両刃剣が手首を切り裂き、そこに間を置かず追撃を入れ左手が千切れる。


 武器を回収し直後に奴の腕に刃の根元まで深々と刺し込み、ついでと言わんばかりに腕を切り裂きながら奴に近づく。すると進行方向から俺より少し小さい無数の光球が展開され、俺に向かって短い間隔で光線を放つ。


 両刃剣は前方に投擲され、数発の光線を弾きながら発射元の光球に詰め寄る。


 俺はその間奴の腕に爪を食い込ませ腕の下側や横側を重力に逆らいながら縦横無尽に駆け光線を避けつつ近づく。


 振り下ろそうと腕を振るうも爪がしっかりと食い込んでいる為落ちるわけがない。いつの間にか光球に肉薄し、すれ違うと同時に剣と俺で全ての球を破壊する。


 肩付近から奴の顔面目掛け跳躍し、今度は拳だけでなく切り刻もうとするも目前で何かに弾かれる。


 何!?


 驚きと同時に自分の周囲にいつの間にか展開された光球から無数の光線を浴びせられる。一部は塞いだもののマナの防御膜をいともたやすく貫通し、俺はまるでアニメに出てくる穴あきチーズと同じ姿にされ、挙句ドームの端まで吹き飛ばされる。


 一々吹っ飛ばすんじゃねえよ。


 地面に埋もれた体を起こし遠くを見つめる。暗くて何も見えないが思わず悪態をついてしまう。


 勿論体に空いた無数の穴は既に塞がって、何事も無かったと言わんばかりに無傷だ。


 色々と面倒くさそうな相手だが、正直苦戦する程でも無さそうだ。吹き飛ばしは面倒だが、近づけない程ではないし光線も体に穴は空くが、どちらもダメージは皆無な為、問題ない。


 まあ、奴が隠し持っている力はまだまだこんなもんじゃないのは感じられるが、その時間はもう無い。


 俺はおもむろに生成スキルを起動する。


 この生成スキルだがちょっとした裏ワザみたいな仕様がある。このスキルは簡単に言うと3Dプリンターなもんで、設計図とまでは言わないが頭にある程度思い浮かべた物を生成出来る。


 剣や刀それと槍など、思い浮かべた形で俺から生えてくる訳だが、一つ疑問が浮かぶ。あくまで物でしかない剣などは生成し振り回すだけだが、腕を生成した時果たしてそれはちゃんと動くものだろうか?


 普通、頭の中で腕を想像しても医者や専門家でもない限り、腕なんてただ漠然と骨があって筋肉が付いてて皮が張り付いてるくらいの認識だ。神経が何処を通っているとか、血管が何処に張り巡らされているかなど知る由もない、仮に知っていたとして100%再現できるだろうか?


 でも、現に俺から生える腕は正常に動かす事が出来る。それは何故か。


 答えは単純。


 このスキルは何かをコピーするように生成する事ができるからだ。


 要はこれまで、俺がスキルで生やした腕というのは、元からある腕の設計図をコピーして生やしているに過ぎない。付け根とかどうなってるんだとか、それでも動くのはおかしいだろってのはご愛嬌。てか、俺も全然検証できてねえんだから黙ってろ。


 肝心なのはここから。


 俺は両刃剣を右手で握り、スキルを起動。ものの数秒で俺の左手から瓜二つの両刃剣が姿を表す。


 同じく生えた腕が両刃剣を二本構え、俺も突撃の体勢に入る。



 ここからは本気でやろう。

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