第七十三話
感想にログイン制限というのがあったんですね、知りませんでした。制限を無くしたはずなので何かあればよろしくお願いします。
気合いを入れ過ぎてしまったかもしれない。先程まで眼前に広がっていた暗い領域が今ではその殆どが消え去り、顕になった景色はかつての滅亡の足跡を残して静寂に包まれていた。
枯れた川、崩れた砦、抉られた山脈、砂漠化した森そしてこの都市に向かって一直線に伸びた道。
俺の渾身の咆哮を以ってしても晴らす事ができず、おどろおどろしく蠢く黒に塗り潰された道。およそこの都市を滅亡させるに至った者の足跡とでも言うべきか。
かの者が通り過ぎた場所は問答無用に溶かされ皆蠢く何かにその姿を変えてしまったようだ。
道は一直線に、それも平行に伸び道中にある草木はもちろん山すらも溶かされ、元々一つの連なる山脈だったのだろうが今では大きく二つに分かれてしまっている。
よくよく見ると道から少し外れたところに大きな手形が地面に付いており、道と同じく黒に染め上げられている。
黒く溶けたこの異様な光景だけでその力の片鱗を目の当たりにした。
リルはただ無言でその光景を眺めている。
まあ、無理もない。こんな光景目にしたら言葉なんて出るもんじゃない。どうしてここに来たがったのか分からないが満足いくまで待つ事にしよう。
故郷が蹂躙された様を眺めるリルの顔を俺は見る事ができずただじっと遠くの方を眺めた。
しばらくするとリルが話しかけてくる。コイツによるとどうやらまた別の場所に行きたいらしい。
本来なら早いとここの異空間の主を倒して外に出たいのだが、まあいいか。ここまで来たからにはとことん付き合おう。
どっちが北かは分からないので仮に道の先を北とするとこの城から大体北西の方に向かいたいらしい。
早速俺は城の頂上から飛び出し一気に駆け出した。
それにしてもこっちに一体何があるんだ?
リルのやりたい事がさっぱりな俺にとっては当然の疑問だった。するとすかさずコイツが教えてくれる。
テガミニ。
手紙? あーあの置き手紙か、てか、お前あれになんて書かれてたか分かるのか?
チョト。
マジか凄いなお前。
……。
もしかして照れてる?
グルルルルルルル。
あ、怒んなって。それでなんて書いてあんだ。
・・・
なるほどね。
コイツも手紙の内容全てが読めるわけではないので完全に合っているか分からないが、要約すると。
連れ去られた娘を助けに行くからお前は避難してなさい。的な内容だ。
連れ去られた娘はおそらくリルのことで、助けに行くと言うのはおそらく手紙のニュアンス的に父親。お前と書かれてるのは多分母親で、避難しろと書かれている場所が今向かっている場所だろう。
だが、リルを実際に助けたのはあの騎士で父親ではない。あの光景を見るに幾ら避難したと言っても恐らく……。
もし向かった先で更なる絶望が待ち受けてるとしてこの子は果たして耐えれるだろうか。
寧ろこの先に向かわず何も知らぬままここを出た方が良いのではないか?
チラッとリルの方を見る。
その瞳は真っ直ぐ前を向いていた。力強く。
俺は正面を向き更に足を速めた。
キニシスギ。
うるせ。




