第七十一話
誤字脱字報告ありがとうございます。気を付けても案外やってしまうものですねw
寧ろちゃんと読んでくれてる人がいるんだと安心しました。これからも何かあれば教えて下さい。
なーいいだろ。
ダメ。
い・い・だろって。
ダーメ。
騎士をあの場に縛り付けた後、本来の目的のため探索がてら城の中を見回りながら城内を上へ上へ進んでいた。そして進みながら最近になって話すようになったコイツにある重大な事を聞いていた。
それは……
だから、いいだろって。俺がまだ把握してないスキルのについて教えろって。
イヤ!
い、いやじゃねえだろ、いい加減にしろ!テメエ!! ごちゃごちゃ言わず教えろ!
ウウウウゥゥゥゥ……グルルルルルル!!
な、何だよ。う、唸ったって関係ねえぞ!
ウウゥゥゥ…………。
ん? おい、もしもし、もしもーし。コイツ……こっちが何もできないからってダンマリ決め込みやがって。そういう事ならこっちにも考えがある。お前に着けるはずの名前も考えないし渡したスキルの腕の主導権は返してもらうからな! いた、痛い! テメエ何すん、いた!
スキルで生やした腕がおもむろに動き、そして俺の顔面にその拳が何度も叩き込まれた。
てめ、この。やめろ!
咄嗟に両腕でコイツの操る腕を掴んで制圧したが箱が急に床に落ちたため吃驚したリルが何事かと俺を見上げる。
す、すまん。何でもない。
リルに謝りつつ箱を取ろうと掴んだ腕を離すと、すぐさま拳が叩き込まれる。
おい!いい加減にって、悪かった。お、俺が悪かったって! 嘘!嘘!! ちゃんと名前考えるから、主導権取り上げないから。
俺から言質を取って満足したのかすんなりと拳を収め意識の奥に戻っていく。結局コイツからスキルの事は聞き出せず、ただの殴られ損だ。
うっ、リルが変な目で俺を見ている。誤解を解きたいけどややこしいからなぁ、コイツ。……痛! もう余計なことは考えないようにしよう、今は。
それに、スキルの事は聞けなかったがコイツのおかげでこれを手に入れたからな、今回は良しとするか。
グワングワンと鉄板が歪んだような揺れた音を響かせながら両刃剣が回転しながら俺の周りを旋回している。
あの騎士自体のマナも相当だったが遺跡の連中に比べると足元に及ばない。が、これは別格だ。これを持った瞬間に伝わるこの剣に内包する圧倒的なマナ! 遺跡の連中と同等かそれ以上。
素材も金属かと思ったが刀身を見たり触ったりするとそうじゃなく、なんだか石っぽい不思議な質感。
膨大なマナに未知の素材。まさに神器というに相応しい代物だ。
これで俺が『鑑定』持ちだったらこの剣の能力も知ることができたんだがなあ。コイツに聞いてみたところ俺は鑑定を持ってないらしい。
鑑定とはスキルの一つで、対象の情報を読み解くことができるスキルだ。例えば生物に使うとその名称やどれくらいのマナを宿しているかが分かり、スキル保有者のレベル、つまり発動時に消費するマナの量が上がるにつれ細かい情報を閲覧することができる。
どのくらいのマナを使えばいいかは分からないが噂によると鑑定対象の保有するスキルや未知の魔道具の効果などが分かるらしい。
噂でしか知らないのは鑑定スキルがメチャクチャレアなスキルで発現者は世界的に見ても極僅かで日本国内では確認もされてないからだ。
それと、これも噂でしかないのだが、数多あるスキルの中には国やその機密機関が血眼になって探してるスキルが有るらしく、鑑定スキルはその中の一つと言われ、スキルを発現させた者は漏れなく国に手厚く保護されていて表舞台に現れない、と言われている。信じるか信じないは貴方次第。
ま、そんな訳でこの両刃剣にどんな特殊能力があるのか皆目見当はつかないのだが、使っていればそのうち分かるだろう。
でもそうなると更に気になるのが俺に隠されたスキルについてだ。あれから俺も色んな物に向かって心の中で「解除」と唱えてみたものの何か発動する気配がない。
対象が間違っていたり色々と使えない理由がありそうだが一番はやっぱりコイツが意図的に隠している気がする。
この両刃剣、なんと俺は暗示を何もかけていない。にも関わらず俺はこの剣はあの騎士のように使うことができる。
そう、まるで最初からこの剣は俺の物だったかのように。
無理してでもコイツから聞き出すか? イテッ。
……やっぱいいです。




