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第百七十二話

 門に入って白い空間を駆け抜ける。ここに来ていざ元の世界に足を踏み入れると思うとなんだか少し緊張してしまう。


 逸る気持ちを抑えると同時に徐々に走る速度を落としていき、本来なら一瞬で通過するはずの出口がだんだんと近づいてくる。


 ようやく、か。


 ここまで長いようで短い道のりだったと改めて感じる。と言ってもここに来て目的を果たす前にちょっとした寄り道としてイレギュラーなる不届者を成敗しなくてはいけないのだが。


 ホントニ、ヤルノカ?


 急に何だよ。てか、しょうがないだろ、もうオッケーしちゃったんだから。


 ……


 ここ最近というか、天使を追っかけてる途中から相棒の様子が少しおかしい。


 黙ってることが多くなった気がするし、俺がやろうと決めたことに一言二言挟むようになった気がする。


 相棒と接するようになってからそんなに時間は経ってないから完全に俺の気のせいかもしれないが、逆に言えばそんな短い関係でも感じる違和感があった。


 俺のやることを止めたいようだが、いざやる時は止めに入らないそんな矛盾した行動を繰り返してる気がする。


 どうしたんだよ、最近ちょっとおかしいぞ? 何か思うことがあるなら言えよ。


 ……ベツニ。


 あっそ……ハァー、まぁこんなんで納得するか分かんないけど。なんて言うか……あの姉崎?っていう子の、そのー、何て言うか放っとけ無かったんだよね、ぶっちゃけ。


 あの子の声とか態度とか、今まで俺に何かをお願いしてきた子たちと一緒で、正に真剣そのものって感じだったけど、それだけじゃないんだよ。


 何て言うか……こう、ね。上手く言えないんだけど……


 モウイイヨ、ワカッタカラ……サッサト、ヤロウゼ


 お、おう。


 どことなく拗ねたような感じだが相棒も突っ掛かってた物が取れた感じだ。それこそ気のせいかもしれないけど。ま、いいさ。


 さあ、記念すべき故郷への第一歩を踏む出そう!!!



 ・・・



 やべぇ……問題発生だ。イテッ! クソ!


 頭に何かをぶつけてしまった。別に痛いわけじゃ無いが結構不快だ。結論から言うと……



 何も見えねえ。どうなってんだ? ここ日本、だよな。


 光とかそういうのを何も感じない。ただ暗い画面をジッと見てる感じだ。地面の感触は自然とは思えない人工的なゴツゴツとした地面。おそらくアスファルトだと思うのだが、何も見えないから確認のしようが無い。


 相棒! どうなってんだ!?


 オチツケ! ヨクミロ!


 何を!


 ウシロ!!


 そう言われ一旦落ち着いて振り向くとそこには先ほど俺が通ってきた門が変わらず鎮座していた。


 え? これって……


 俺の視界が映すもの、異世界に遍く存在し輝きを放っていたモノ。それが無ければどうなるか。答えは単純。


 俺はこの世界において完全に光を失ってしまう。

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