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第百六十九話

 次はどっちに向かえばいいんだ?


 灰色少女がスッと指を差し、俺はその方向に向かって走り始める。


 獣人の集落での女神騒動の後、一件落着に思えた騒動だがどうやら数体の天使がその場から逃げ出していたらしい。俺にとってはそんなでも、他の奴らにとっては厄介極まりない存在だ。そんな奴らを例え数体と言っても野放しにするのはあまりいい気はしなかった。


 やるからには徹底的にやっておこうと決め、そいつらの行方を追っているのだが、肝心の行き先が俺には分からなかった。だけど、女神様?との戦いで何故か俺に懐いた元女神様?の灰色少女がその行方を教えてくれた。


 教えると言っても、どこどこにあると悠長に喋るのではなく、ただ漠然とその方向を指さすだけで本当にあっているのか見当もつかない。それでもただ闇雲に探すよりはいいだろと、その指の向くまま気の向くまま走り続けているという訳だ。


 まあ、時間はいくらでもあるし、これ自体俺の自己満足でしかないからそこまで急いでるわけじゃ無いからいいんだけど。



 なあ、あとどれくらい残ってると思う?


 シラネ


 知らねって……お前が教えてくれたんだろ、天使がどっか逃げたって。


 ワカラン


 あっそ。


 俺は既に天使は二体ほど狩っている。


 この広い世界で二体倒せたのは灰色少女のお陰なのだが、これが多いのか少ないのかが問題だ。


 あれだけの数がいたんだ、数十体……いや数百体居なくなったとしても不思議じゃないし気が付かない。俺の自己満と言っても俺にもやる事がある。


 こんな姿になったけど俺はこっちでも大丈夫だと向こうの友達にそう伝えるという目標がある。だからいつまでも天使狩りをしているという訳にはいかない。あと何体か倒したらどっかで区切りを付けるべきかそう思っていた。


 なのだが。


 ペチペチと俺の背中が小さい何かに叩かれる。振り向くと灰色少女が俺の背中を必死になって叩いている。俺はスピードを徐々に緩め足を止める。



 またか?


 俺がスキルでそう聞くとコクコクと頷く。少女は天使の行方を見失ってしまったらしい。ここ最近ずっとこんな感じだ。


 一体目二体目は順調だった。大体一日かければ逃げた天使に追いついていたのだが、三体目からそうも行かなくなってしまった。少女が指さしその方向に向かい、見つけて仕留める。それだけだったのだが、ここ最近は何故かその方向自体を見失ってしまっている。


 見失う原因はおそらくだが、その方向の天使が何かに倒されている。単純に考えればそれしか浮かばない。


 俺の手を煩わせずともそいつらが勝手にやられていくなら非常に楽で助かるのだが、やられているのが天使だと思うとちょっと違和感だ。


 俺視点だと弱いが、奴らは他の存在にとっては充分脅威だ。そう簡単にやられるとも思えないし、少女が見失う回数も多すぎる。


 ここ数日で十回以上は天使を見失っている。それだけ倒されているというには少し異常だ。俺の元居た遺跡の連中くらい強い奴らと戦えば天使もひとたまりもないが、そんな連中はそう簡単には遭遇しない。


 そういう事もあって、この件から中々見切りが付けられないという状況だ。



 仕方ない、次に向かおう。


 だが今までと違って少女は何か困惑した様子で指を差すのに躊躇している。



 どうした? 大丈夫か?


 何か様子がおかしい感じだが、しばらく困惑し続けたのち、ようやく指を差した。


 そして俺はその方向に向かって走り始めた。





 一か月も。


 だがその先で俺はとうとう見つけることが出来た。俺が目差していたものを……無意識に避けていたものを。

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