第百五十二話 戦闘開始
「トドメだオラァ!」
サラは一気に駆け出し異常個体に追撃を入れる。地面に横たわる黒色目掛けて必殺の槍を突き刺す。
「……っ!?」
槍の先には砕かれた地面だけで奴の姿はどこにも無い。
「妙なスキルでまた隠れやがった! まだ終わってねぇぞ!!」
未だ息が整わないレックスの背後がぼやけ始める。それにいち早く気づいたケビンが腰の刀を抜きレックスの背後を切り払う。
ガキンという鉄と鉄がぶつかるような高い音を響かせながら刀はぼやける空間の途中で止まった。
徐々に姿を表すイレギュラー。刀は手でいともたやすく受け止められていた。
「退いてろ!!」
背後に居るイレギュラーに対し振り向きざまにレックスが腕に溜めた雷撃を拳に乗せ殴りかかる。ケビンは直ぐに刀を引きその場を離れる。
「くたばりやがれ!!!」
雷の轟音が鳴り辺りが閃光に包まれる。確かな手ごたえを感じレックスは笑みを浮かべる。が、すぐにその表情が曇り始める。
「な、なんだと……」
「離れろ!!」
ケビンの叫びにレックスは咄嗟に腕を引くが、その吸い込まれるような目がレックスの目の前に既に迫っていた。
嫌な予感が体中を走る。咄嗟にマナを纏えたのは流石と褒めたいが、レックスはその攻撃に耐えられるか自信が無かった。
しかし、その攻撃が炸裂する前にケビンの切っ先とイブの蹴りがいち早くイレギュラーに届く。イレギュラーの体が骨などを一切感じさせずにグニャリと歪み2人の攻撃が空を切る。その瞬間イレギュラーの上からサラが槍を突き立てながら地面に激突。
その場からイレギュラーは飛び退き、結果として互いにダメージは無く仕切り直しとなった。
「奴の消えるスキルに用心しろ。これ以上不意打ちを喰らうのは厳しい」
「同感だぜ。クソっ……息をするのもやっとだぜ」
「ううう、キモチワルイ~」
あまりに自分の思い通りにならない事に苛立ったのかイレギュラーの体が震え始め、やがてレックスの雷撃が可愛く思えるくらいの耳が劈くほどの咆哮を上げる。
「……どうやら、イブが怒らせたようだ」
「ええええ!?」
「あんたら真面目に……っ来るよ」
イレギュラーが叫び終わり脱力するように体がだらんと垂れた瞬間、急にスイッチを入れたようにサラたちに駆け出す。
サラたちはその場にケビンだけを残し散開しケビンは刀を抜いて待ち受ける。
迫るイレギュラーの攻撃をケビンは刀で巧みに弾き逆に切りかかり傍から見ると常人では理解できないような激しい斬り合いの攻防が行わっる。
いつまでも鳴り響く金属が打ち付けられる音を聞きながら綾瀬はその光景をただ黙って見ているしか出来なかった。
「すげぇ……」




