第百四十五話 違和感2
くそ……やっぱりダメだったか。充分な勝算があると思ったんだけど……いや、よくよく考えれば穴だらけもいいところだ。
それが内心わかっていたからスゴスゴとこうして素直に引き下がったわけだ。
だけどどうしても異世界に行きたい。ハッキリ言って焦ってるのは分かるし、この状況じゃ無謀なことも分かる。だけど……
一刻も早く、1秒でも早く、強くなりたい。と、少しでも立ち止まってしまうと急に不安というか焦りに急かされる。
初めは仕方ないと思った。訓練や知識を蓄えコツコツと自力にしていくしか無いと思ってたけど、日に日に焦燥が駆け巡り、こんな事をしてる場合では無いと何かに言われてる気がした。
危険を承知で向こうに行くことも考えたが理性がそれを押し留めてくれる。
だけど今はまだ制御出来るレベルだが、いつ爆発しても可笑しくない程に徐々に焦りが出始めている。
「一体どうすれば……」
・・・
嵐が去った部屋に1人で岡田はデスクに置かれた書類に目を通していた。まぁ嵐と言うほど激しくは無く、小雨もいいとこの感じだったが。
そこに先ほど綾瀬を外まで案内した立花が入室してくる。
「いいんですか岡田さん。綾瀬くんたちに手伝って貰わなくて?」
立花は入って早々、敢えて分かりきったことを尋ねる。
「フッ、私に未来ある若者の将来を潰すような事は出来ないよ」
それが分かっているから岡田もそれについて素直に答える。
考えてないわけでは無いが今はそこまでひっ迫した状況でも無いし、例えそうだとしてもそんな手は使えないし使わない。大人の責任というやつだ。
「それより助手くん、君もこの件については部外者。早く学校に戻りたまえ」
「今日は休日ですよ。あと、助手くんはやめて下さい」
「ああ、そうだったか」
その返事を聞いて立花の顔が曇る。このご時世休みの日も忘れて作業していることに心配が顔に浮き彫りになる。
「私は大丈夫だ助手くん」
「だけど人が足りてないんじゃ。今からでも私もチームに……」
「大丈夫だ」
決して強がりでは無い何処か確信の込もった返事に立花は思わず面食らう。
「優秀な人材には当てがあるし、何ならもう既に手配して到着したところだ」
「あ! あの見慣れない外人さんですか!?」
「流石にわかるか。アイツらはそんじょそこらの有象無象とは訳が違う、人の皮を被った化け物と言っても過言じゃ無いくらい強い連中だ」
「へぇ、そんな凄い人たちがよく来てくれましたね」
「……」
「岡田さん?」
どうしても引っ掛かるのがそこだ。あの野郎やけに気前よくこんな優秀な人材を送り込んできたわけだが……理由はわからない。というか手が回らない。
くそ……何にせよ今は異常個体の件を早々に片付けなくては。




