第百四十三話 違和感
「案外早く終わったな」
「ですね! これでセンパイとデートに行けます!」
白い現代的な建物からサラたち4人が出てくる。堅苦しい挨拶などを済ませ束の間の暇がようやく訪れそのお陰でどこか足取りを軽く感じさせる。
「一々はしゃぐな」
しかしサラだけが他3人よりも精神的な歩幅が合っていない。
「……どうした?」
「いや……やけに話というか、この後のスケジュールがスムーズに決まったなって……」
「だからいい事じゃねぇかよ! 長ったらしい話を聞くのは俺は勘弁だぜ」
「聞いてた話と違うのよ」
「……というと?」
サラは日本に行く前、事前にウォルターからある指示を受けていた。それは『一定期間、異世界に行けなければ直ちに調査を中止して帰国』というものだ。
理由を一応尋ねたがそれ以上でも以下でも無いと言われ特に理由を話さなかった。
よくよく考えれば自分たちがこのタイミングで他国に調査に向かうのは少しだけ違和感がある。調査に向かう言い分や世間の煽りを加味すれば、何かしらの成果を上げるためと納得できもするが……
先程会った『岡田』という今回協力する調査チームの代表。来日前に事前に日本の情勢を調べたところ、これでもかと芳しく無い状況にこの女は陥っていた。
ウォルターがわざわざあんな指示を出しながらアタシらをここに来させたのはある意味、パフォーマンスのようにサラは感じていた。
なんなら異常個体と戦わずに済むならと何処か楽観的に思っていたのだが。
それなのに……
「するってぇとよぉ、もしかしたら観光して帰るだけになるのか? 俺たち」
「最初はね。でも岡田のあの態度から察するに門はどうやら確保してるみたい」
「はぁ〜、運がいいな」
「本当ですよ! その話で行くとセンパイと観光して温泉入ってショッピングして〜、って遊べるはずだったのにぃぃ! どゔじでぇぇぇ!!」
泣きじゃくるイブを無視してサラは思考を巡らす。が、あまりにも周りが五月蝿すぎてそれどころでは無く仕方なく思考を切り上げる。
「まっ、どっちにしろしばらく暇なんだ、俺は飯でも食ってくるわ」
「……俺も」
「あ! じゃあセンパイ何か食べに行きましょ」
「ハァ……オッケー。行こ」
そういって泣く泣く歩き出すと手に持つ槍に少し違和感を感じる。磁石みたいに何かに引っ張られるそれに近い。
手でグッと槍を引く。すると何事も無かったように運べるようになった。持ち上げたり動かして違和感を確かめようとするも特に異常は無い。
「どうしたんですか? 早く行きましょー!」
サラは仕方なく記憶の片隅に放ってその場を後にした。
・・・
「……!?」
「どうしたの綾瀬くん?」
「い、いや。なんか、凄いのいませんでした?」
「え? ああ、確かに今の外人さんたち、すっごく大きかったですね」
「まぁ、それもあるんですけど……気のせいか、な?」




