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第百三十八話 緊急

 荒野を4人の男女が移動し、その内の大柄な男…… というか1人の女性を除いて皆が大柄なのだが、1人の男が何やら不機嫌そうにとりわけ小さい女性に話しかける。


「作戦中止ってどういう事だよ! まだ半年はここに居られるってのに」


「ウォルターの指示よ。詳しくは知らないけど向こう側の状況が変わったみたい」


 サラは淡々と答え、イラつくレックスを少しでも宥めようとはしない。


 長い付き合いでは無いが、なんだかんだこの短い期間でそれなりの関係を築くことが出来ている。


 4人はあの顔合わせから直ぐに異世界に向かった。目的は早急なレベルアップをする為。


 サラの持つ槍は人類が足止めを喰らっているエリアレベル4や5の魔獣を易々と葬る代物だ。この槍を使えば本来手出しの出来ない魔獣や魔物を倒してレベリングを行うことが出来る。


 その為に企業が買い取ってた門の権利をあの手この手でわざわざ奪ってまで異世界に来たわけなのだが、どういうことか急遽サラたちはウォルターに呼び戻される羽目になった。



「たく、もう少しでレベル6だってのによー」


「確かに。イブもあと少しで5に成れそうだったのに……」


 耳を疑うような会話だが全て事実だ。


 今まで到達していたエリアレベルは4。レベル5のエリアは入れはするもののまともに調査が出来る場所では無かった。


 そもそもそのエリアに入れる程のレベルに到達出来ない事や、レベルは上がってもスキルを知覚できず戦いにならなかったり等の理由があるためだ。


 だが、サラたちが今回行ったレベリングは予想以上というか、寧ろ想定外の結果になっている。


 サラたちが異世界に来てまだ2、3ヶ月。40年かけてレベル4に到達したことを考えると破竹どころの勢いでは無い。


 まさに人類の最前線がこの4人なのは間違い無い。


 だが……



「足りない……」


 サラがそう呟く。


 自身はレベル6に達し手に握る槍も相まって文字通り最強になったがこれはあくまで人に限っての話だ。


 直接その目でアレを目にした彼女にとっていくらその身にマナを宿そうと勝てるビジョンが全く浮かばない。それどころか返ってその力の差を痛感してしまう。


 ここに来ていくら力を付けようと手の震えが止まることはない。



「大丈夫か?」


 普段無口な男、ケビンがサラの気配を察してか声をかけて気にかけてくれる。



「ええ、まぁ」


「無理はするな」


 無口な奴だが意外と気の利く奴だ。それに顔に結構考えが出やすい。だけどウォルターが何故私たちを呼び戻すのか…… 帰ったら問いたださないと。

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