表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
133/142

第百三十三話

 結局、二度目の宴を断る訳にもいかず、再び集落の真ん中に案内されウルたち獣人のお姉さん方にこれでもかと饗されている。


 灰色の少女も何故か獣人たちに受け入れられ俺のそばに座らされ獣人のちゃんねーに甘やかされている。


 ウルは相変わらず俺に付きっきりで、物理的だけで無く視覚的にも楽しませてくれる。



 教育上あまりこの子(灰色の少女)に見せたく無い光景なんだが。


 集落は中央付近を除いて壊滅的で、当たり前だが未だ復興には至ってない。しかもジャングルは今もどんどんと成長を続けて建物があった場所をほぼほぼ飲み込んでしまっている。



 殆どの獣人は今日は屋根の下で寝ることは出来なさそうだ。まあ、このジャングルの特性のお陰でこうして連日お祭り騒ぎが出来るんだけど。


 獣人たちはジャングルに入っては大量の果物を抱えて戻って来ては俺にそれを差し出してくる。いくらジャングルがすぐに育つと言ってもここまでしなくてもいいんだが、ウルにそれを言っても聞き入れてはくれない。


 逆に不敬なのでは? と思うが、これも俺の為にやったくれている事なのでこれ以上は何も言わない。


 まあ、俺はともかくこの子は運ばれてくる食べ物に興味津々で出されるままに食べ尽くしている。


 何処にそんだけの量が入るんだと思うが、よくよく考えたら元々は色々と混ざり合ったドロドロの不定形だったのでいくら食っても腹が一杯になる事は無いのだろう。


 獣人のちゃんねーも、この子が可愛いのかずーっと「あーん♡」をしている。


 で、結局時間が経って、気付けば夜。


 こんな時間に出発することも無いので、もう一晩ここで一泊することになった。この子は俺に体を預けスヤスヤ眠っている。つい数時間前まであれだけの戦いをしてたのが嘘みたいだ。不気味な表情を浮かべていたのに、今では寝てるのに何処か可愛らしい顔をしている。


 そんな事を思いながらこの子を見ていると灯りが消えた暗闇から人影が現れる。


 俺は正直これを予想していた。


 暗闇から現れたのはウルだった。


 表情は決して明るく無い。どこかバツの悪そうな顔だ。俺の前に来ると少しモジモジした後、俺に何かを話しかけてくる。


 聞かなくても何を言いたいのか分かるが念の為。



 相棒、なんて言ってるか分かるか?


 オハナシ、シタイッテ


 それを聞いてウルの話を聞くために体勢を少し整える。この子が起きるか心配したが、杞憂だった。


 俺の様子を見て、ウルは再び話し始める。何かを願う、いや懇願するように話している。



 なんて言ってる?


 ココニ、イテクレッテ


 まあウルの気持ちも分からない訳では無い。この地の脅威は去った。だがいつ現れるか分からない。そんな不安定な状態でいたら、いつの日か簡単にそれは崩れ去ってしまってもおかしくない。


 ウルたちは新たな神を欲している。その為ならなんだってするだろう。


 だけどやはり……


 俺はキッパリとそれは出来ないとウルに伝える。俺にはやるべき事がある。この地に永遠に居座ることは出来ない。残酷だが納得してもらう他ない。


 一応あの剣はここに置いておくつもりだ、ウルには気休め程度にしかならないだろうが。


 それを聞いてウルは一言俺に何かあった後、すごすご自分の寝る場所に戻って行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ