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第百三十一話

 ナツカレタナ


 おいー、コレどうすれば良いんだよ。


 シルカ


 俺が作った黒い体を自分と混ぜ合わせ、美しい女神さまから可愛らしい女の子に変わったコイツは俺の足に引っ付いて離れようとしない。


 何かしらの攻撃かと最初は思ったが、特に何も起きないまま時間だけが過ぎた。


 スキルを使って意思疎通を図ろうにも、これと言った反応は無く空振りに終わっている。無機物を生き物に変えるほど強力なスキルなのだが、コイツにというか天使の時から効きが悪い。というか効かない。


 天使と戦ってる時に思ったが、コイツらは総じて何も考えて無い。あーいや、少し違うな。コイツらは何も感じて無い、だ。ただ一つの命令をひたすらに従い続ける機械みたいな存在だ。


 それに加え、女神さまの形態や今の姿も言ってしまえば群れみたいな物だ。個々が一つに集まって別の姿を形成してるに過ぎない。


 もしかしたら天使一体に関しては暗示をかけ続けていれば効いてたかもしれないが、無数に集まった意識の集合体にはどうやっても効かないのも道理か。


 いや待て。そうなると今のこの子の姿は天使だけじゃ無く連れて来られた奴らも含まれてるはずだ。


 あれだけ混ざり合っているのに、内側の意識は一つになって無いのか? だとするとこの子の中には未だ無数の怨嗟が蠢いてる事になる。


 考え事のさなか思いがけず、灰の少女と目が合う。


 純粋無垢な瞳をして真っ直ぐとこちらを覗いているがその奥に蠢くモノを想像し、それが可愛らしい姿に擬態してると思うと、背筋に変な悪寒が走る。


 意思疎通が出来ない、目的がわからない、何をしでかすか分からない。こんな不確定要素を抱え込むくらいなら、もういっそのこと……


 そう思いマナを右腕に流し振りかぶるも、俺の足にしがみ付きながら俺を見つめ唇を震わせる姿見て、俺は、俺は……



 出来ねぇええええ。俺には出来ねぇよそんな事……


 前にもこんな事があったような気がするが、もしそうなら俺はその時から何も成長していないのだろう。



 ダッタラ、オレガ、ヤッテヤルヨ


 溜めたマナを抜こうとした時、不意に手の感覚が無くなり、寧ろ体内から更にマナが流れここら一帯を吹き飛ばしても可笑しくない。



 馬鹿! 待てって!!


 俺は咄嗟に逆の腕にマナを流し攻撃を止める。突然の事で半ば無意識にマナを流したが、何とか同じだけの量を引き出すことが出来た。


 灰の少女の寸前まで迫ったが間一髪のところで止めることが出来た。あまりの出来事に涙目になりながら俺の足から手を離し尻餅を着いてしまいそのままポロポロと泣き出す。



 オイ、ナンデトメタ


 何では、こっちのセリフだ! 何でこんな事した? どういうつもりだよ!


 ソイツ…… タブンキケン


 あ?


 灰の少女を見るが今も泣いたままだ。とても相棒が言うような危険な存在とは思えない。



 ドウニカ、シタホウガイイ


 再び右腕が勝手に動き出すが、すぐに止める。



 ちょちょ、ちょっと待たないか?


 ドシテ?


 俺の目にはコイツが危険なようには思えない。だけど相棒が危険と言うくらいだ、何かあるのは分かる。だから、そのーー、間を取らないか?


 アイダ?


 そうそう、この子が悪さ出来ないように何にかしらの対策をするから、それまでこの件は保留にしないか?


 イヤ、ココデヤッタ、ホウガイイ


 ちょちょちょ! だけど、だけどさあ! こんな…… 泣いてる子をさー、な? 頼むよ。


 ……チッ、モウイイ。スキニシロヨ


 ハァ…… 戦闘中よりも相棒が暴走した時の方がドキドキするって一体どうなってんだ? 全く。


 まぁ、可愛い子に弱い俺が悪いんだけど。


 そして改めて少女に向き直ると、ビクッと体を跳ねさせて俺から少しずつ後退りをする。



 待って待って!? 俺、もう怖い事しないよー、本当だよ!

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