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第百三十話

 うわー、どうしよう。


 絵面だけなら完全に俺が悪者だ。というか俺の見た目と皮だけなら絶世の美女の女神じゃ、どう転んでも俺が百パー悪者だ。


 それに加えて涙も流して震え始めたらもう役満確定の現場に、この光景を目にしたら例え俺の事を心底信奉しているウルたちでさえ、俺の事を軽蔑するかも。



 ナーカセタ、ナーカセタ


 一々小学生みたいに煽るな、鬱陶しい。もう勘弁してくれよ…… これじゃマジで俺が悪いみたいじゃん!


 確かに俺も容赦せずに全力で戦ったけど、それはしょうが無いじゃん! あんな超広範囲攻撃を見せられて仕掛けない奴なんていないよ!


 ま、まぁ羽毟ったり腕取ったり足折ったりはしたけど…… イヤイヤそんな訳ない! 飛ばれたら困るし、斬られても面倒だし、逃げられたらもっと困るからやっただけだし、しょうが無くだし!


 目の前の存在があまりにも哀れな姿になり、罪悪感が滲み出て謎に言い訳をしてしまう。



 ああえっとー、そのー、あー、だ、大丈夫そ?


 自分でも何をしているのかよく分からなくなってきた。



 俺は天使どもを虫に例えたりもしていたが、まさか俺は今虫を慰めてるのか?


 正直この気まずい時間を早く終わらせる為にトドメを刺したいところだが、すんでのところで踏みとどまってしまう。



 あーもう! 仕方ない!


 ナニスルンダ?


 いいから見てろ。


 俺はウルを治したように女神の欠損部分を治し始める。液体を生成し暗示をかけそれが女神の一部と成りひび割れた陶器を埋めるように黒い液体が浸透して行く。


 ウルと違って体のほとんどが俺の生成した黒い体で構成され印象がガラッと変わる。



 オイ、イイノカ?


 相棒の懸念もわかる。さっきまで戦ってた敵だったってことを除いてもそれ以前にコイツ自体の性質が他の生き物にとって厄介極まりない存在という事に変わりは無い。だが、そこら辺はちゃんと考えてある。



 大丈夫。俺の生成した黒い体にはさらに暗示をかけてある。


 ナンテ?


 もし獣人や人を襲ったら殺せ。てな感じで暗示をかけてあるから大丈夫だ…… 多分。


 ヤッチマエヨ


 出来ねぇって! なんか可哀想で。ていうかそれくらいいいでしょ。『生かす』ってのは強い奴の特権なんだから、使ったって問題ないでしょ。


 モシモ、ダメダッタラ


 不安を煽るな、頼むから。そう何回も言われるとやっぱりやめた方がいいかなって心配になるって! あーでも、どうするかなぁ。やっぱり…… うあ!? なんだこれ!


 俺と相棒のやり取りを他所に女神は新しい自分の体をマジマジと見つめると、急に体が溶け出した。


 俺が生成した体も一緒に溶け始め何事かと身構えていると、白と黒が混ざり合いドロドロのスライムみたいなのが徐々に人の形に変わっていき、ものの数分で人間のような見た目…… 肌は黒っぽい灰色だがそれ以外は完全に人間だ。


 思わず様付けしたくなる今までの大人の雰囲気から一転、中学生か高校生かどっちかギリギリ見分けが付かないぐらいの曖昧な見た目の少女になっていた。


 肌は黒っぽい灰色、目の瞳や唇、髪の毛は肌より黒く髪型はロングからショートに変わっていて、おっとりとした目元は猫のように少し吊り上がって目力が強くさっきまでとは完全に別人になっている。



 何が起きたんだ? 


 以前作った槍も魔物の体内に吸い込まれ、それ以降その槍の存在を感じることが出来ない。もしかしたらコイツに俺の生成物の主導権を奪われたかもしれないと思い、なんなら先制攻撃を仕掛けるか考えていると、ふと、その子がテクテク近づいて来て。ピトッと俺に引っ付く。



 自爆するきか!?


 イヤ、チガクネ?

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