第百二十六話
天使が球体に集まり出したお陰で空中に留まる足場が無くなり、ただいま絶賛落下中の俺。球体はどんどん遠くに離れて小さくなっていくが収束するマナは高まり続けている。
果たしてどうなるか……
長い時間落下しようやく地面に着く。球体のマナは高まり続けているがそれ以上の変化は無いため、一度集落の様子を確認しに行く。
そして、遠目に集落を確認した時、その光景に思わず足を止めてしまう。
天使たちの攻撃手段や対象が破壊向きではなかった為か集落は概ね俺が出発した時とあまり変わらない。と思ったが、よくよく見ると獣人たちが集まる中央とその周辺の建物を除いて比較的外側に位置する建物は完全に吹き飛んでいた。
おそらく天使たちによる自爆の影響だろう。
だが、同じく爆発の影響をモロにくらった筈のジャングルは急速成長のお陰かもう既に元の姿に戻っている。
ジャングルの素材で家を建てても成長して戻るとかそんな事は無いらしい。まぁ家が成長するってのもおかしな話か。
とにかく、なんで集落の中央が無事なのかとかも確かに気になるが、それよりも気になるのがこの光景。獣人たちが集落の真ん中に、おそらく全員が集まり、何やら中央で黒い何かを掲げる一人の獣人にひれ伏している。
ところどころ体に黒い部分があるので多分ウル何だろうが、どうしてこんな事になっているのか俺には到底理解出来ない。
ウルが掲げていたのは俺が作り出し暗示をかけ放り投げた剣だ。ウルはそれを天に向かって突きつけ何かを叫び、それを聞いた獣人たちは感極まって歓声を上げる。
えぇ……
こんな中俺が出て行ったらどうなるのか、もしかしたら気の利いたコメントとかを言わなくちゃいけなくなるかもと思うと、自然と足が止まる。てか反対側に走り出したくなる。
ヨカッタナ
良くねぇよ。ていうかこうなったのはお前の所為だろ! 何が神様っぽくしろ、だよ。メチャクチャ取り返しのつかない事になってんだろうが!
グルルルル ガウルルル……
もう、せこいって! それ!!
相変わらず主導権を握り続けられる俺だった。
そんなやり取りをしてる時だった。空に浮いた天使を吸収した球体が絵の具をグシャグシャに混ぜ合わせたように変色し始めた。
その光景に誰もが息を呑んで見つめていると、最高潮に高まったマナがさらに凝縮し、一瞬の間を置いて……
開花した。
開花と同時に鳴り響く壮大な鐘の音は最初とは比べ物にならない神々しさで、皆がそれの降臨を確かに予感させた。




