第百二十四話
それにしても数が、多過ぎる、ぞ!
空からこの地上を見下ろす女神の正体は無数の天使共の集まりだった。形を変え結合し必要に応じてそこから離れ獲物を探す。
そして、不運にも連れて来られた獲物は……
女神の形をした空虚な内側に蔓延る地獄。何故か意識を保ったまま、ゆっくりと生きたままドロドロに溶かされる生き地獄に放り込まれる。
俺に敵うはずも無いのに天使たちは無謀にも俺に突撃し塵となって霧散するが、その勢いは未だ衰えない。戦いの最中、ふと女神の中を見ると地獄が煮え立ち始め踠く者たちが更に怨嗟の悲鳴を上げ、そのまま地獄の底へ次々と沈んでいく。
しばらくすると純白の彫刻のような天使たちが姿を現す。背景と全く合わない歪な色合いと光景に思わず絶句してしまう。
天使たちの原料、それはこの哀れにも連れてこられた獲物たち自身だ。
溶かされ混ぜられ、徐々に自分ではない何かに変わっていく。
俺と似てるようで、似てないな。
俺もこんな化け物になってしまったが、なる過程で痛かったり辛かったりした訳でも無いし、なんなら結構今では楽しくやってる事を考えると、俺とコイツらじゃ似ても似つかない。
でも俺と同じように意識とかはあったりするのかも。
気の毒というか何と言うか。俺って意外と恵まれてるのかなって思う。それが今後俺の方針とか生き方に影響するわけじゃ無いし、今更攻撃を止めるわけにもいかないんだが。
なんか変なことを考えてしまったからか、少しだけ攻撃の手が緩む。
ドシタ?
流石に相棒には勘づかれてしまった。意外というかコイツは案外俺のことをちゃんと見てるんだな。
いやちょっと、気になってな。
ナニガ?
この天使たち。意識とかはあるのかなーとか。
ダッタラ?
あっけらかんとした歯に衣着せぬ物言いに思わず口を閉じる。確かに彼らは俺とは何の関係も無い他人よりも遠い関係だ。
だけど俺の力を使ってなんとかしてあげた方がよかったのかと思ってしまう。今までそうやって出会った奴らもそうしてきた訳で。彼らだけ無視するのはどうも、何と言うか……
助けた方がいいのかなっ……て。
カンガエスギ。テカ、オソイ。アイツラ、モウゼンブテンシ
うっ、ま、まあそうだけど。
ツギタスケル、ソレデイイダロ
そ、うだな。うん。そうするわ。次は助かる。
馬鹿だなあ俺とつくづく思う。こんな事で一々…… 改めて相棒の存在に助けられた。今にして思えばコイツが居てくれて本当によかった。




