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第百二十三話

 人、だよな多分。いや絶対そうだ。


 ドロドロに溶けて分かりにくくなっているが確かにそうだ。かなり自分に都合のいいように解釈してしまっているが、まだ残ってる部分から元の姿を想像すると確かに人だ。


 しかも極め付けはこの服装。


 首無したちの古い時代の服装では無く、迷彩柄のウェアに銃のマガジンを収納するチェストリグ、明らかに何処かの軍隊を連想させる服装だ。


 どうしてこんなとこに居るのか、何てのは深く考えなくてもわかる。


 おそらく過去に天使と遭遇して拉致られた被害者の一人だろう。ふと下の地獄絵図を見下ろすがこの人以外の人間っぽいのは見つからない。


 天使による被害は過去二回。多分もう一人は既に……


 とにかく今はこの人を直すことが先決だ。俺のスキルを使って体の溶けて失った部分を補強して、話を…… 見た感じ日本人では無さそうだな。


 この体になって異世界の謎翻訳が機能するか怪しくて会話が出来るかわからないが、まあそれは今は置いておこう。



 取り敢えずスキルで……って、見てるだけないか。


 周囲に天使が集まりだし今にも攻撃を仕掛けてくる様子だ。


 今すぐにでも殴り掛かりたいが、ぐちゃぐちゃの人間を抱えた状態で戦えば、更に体が飛び散って気づいたらいなくなってそうで、これ以上負担を掛けられない。


 足場も最悪、手元には怪我人…… どころの騒ぎじゃ済まない人。一度下に降りるか? いやそうしたらコイツら集まってまた女神になるかも。



 マカセロ


 どうにか出来るのか? っと悠長に喋る暇もないな。


 ついに天使たちが俺に攻撃を仕掛けてくる。溶けた人を抱え込んで天使の攻撃を背中で受ける。対して効きはしないがまた爆発したら抱えたコイツが耐えられる訳がない。



 おい! どうにか出来るなら早くしてくれ!


 オケオケ


 すると何かのスキルが発動した感覚を感じると同時に抱えていたドロドロの人が徐々に俺の体内に吸い込まれていく。



 おいおい、何してんだよ!? これ!


 ドロドロの人は完全に俺の体内に吸収され、痕跡すら残っていない。



 食ったんじゃねぇよな!?


 ナイナイ


 俺が焦ってるのが面白いのか笑いながら返事をしてくる。


 体の中に確かに感じる異物感と言うか違和感がひしひしと伝わって少し気持ち悪い。


 まるで濡れた靴下と靴を履いて歩いてるみたいな感じだ。



 うううう! なんだこの感触! というかこれ、俺が動いて平気なのか? 中でグチャグチャになったりしないだろうな!?


 ダイジョブ、ナカデナオス


 その言葉を聞いて安心、とはならずこれでもかと文句を相棒に浴びせたいが、今は天使たちと戦ってる最中。


 体内の感触のせいで動きが若干悪いが、俺は仕方なく我慢して戦闘に戻った。

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