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百二十話

 無数の天使たちが一斉に爆ぜ空間を揺さぶる程の衝撃を撒き散らし、女神は歪んだ笑みを浮かべる。


 誰の目から見ても跡形も無く消え去ったと確信する破壊力…… だが!


 爆炎によって齎された黒煙を突き抜け黒い何かが空に向かって放たれる。



 足場(天使)が全部爆発しちまったから、煙があって寧ろ助かったな。


 俺は爆発を利用して一旦地上に降りて、マナを溜めて再び飛び上がった。


 横目に集落を見ると未だに天使たちが飛び回ってるのでおそらく爆発したのは俺の周りにいた天使たちだけらしい。


 今のところ安心、だがそんな悠長に考えてもいられない。


 再び女神が天使たちを起爆すれば、今度はウルたち獣人の集落が出てしまう。それまでに女神をなんとかしなければ。



 ・・・



 天空に突如として顕現した存在を見て、獣人たちは()()で恐怖した。


 何世代にも渡り、その本当の意味すら忘れ去られただ掟だからと自分たちを救いもしない神に自らを捧げ続けた意味を彼らは今、その意味を知る事となった。


 現れた女神にこの地で、この世界で生きていく許可を得る為に今まで命を捧げてきたのだと。


 アレをこの世に解き放たないためだと。


 遺跡の奥に置かれ眠っていた台座に書かれていたのはまさにこの空からこちらを覗く女神についてだった。


 遥か昔の太古の時代。この地はとある種族が支配していた地域の一部だった。


 その種は優れた知識と肉体を持ち、かつ排他的で自分たち以外の種族を悉く支配、差別し自分たちに従うものは奴隷に、それ以外は生きる事を許さなかった。


 時折、自分たちに歯向かう連中も現れるが、その全てを返り討ちにし彼らに反抗という概念すら奪い去った。


 まさに時代の、世界の覇者となった。


 獣人などの人族はその上位種族とも言える彼らに隷属しこの地で何千年も飼われることになる。


 が、ある日突然終わりが空から現れる。


 知識と力を積み重ね覇道を極めた彼らをまるで児戯の後片付けのように彼らの成し得た物、積み上げた物、そして彼ら自身を全て空の彼方に消え去った。


 残された者たちは、彼らから解放されると同時に戦慄する。


 あの空の向こうには上位という言葉で表せないほどの存在…… 『神』が居るのだと。


 天罰を目の当たりにした者たちはその怒りに触れないように贄を捧げ、赦しを乞う。


 何年も、何年も……


 そして本能に刻まれた恐怖が今呼び起こされる。



 しかし。



 その恐怖は塗り替えられることになる。突如現れた化け物によって。

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