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第百十九話

 俺が飛び上がると同時に無数の天使たちも俺目掛け飛んでくる。殴る蹴るではなくただ俺の体にしがみ付いてきてかなり鬱陶しい。


 俺が腕を振ると天使が飴細工のように、いとも容易く砕け散り空に霧散していく。


 危険指定というのはあくまで人間目線。俺にとっては何ら脅威になることは無いが、とにかく数が多い。


 今のところはただ向かってくるだけのコイツらを足場にできるので寧ろ有難いが……



 ていうか、これ…… 俺が狙われてる?


 天使というのは名ばかりでコイツらの正体は捕らえた獲物を運ぶだけの道具だ、その道具がこんな大量に俺に押し寄せるということは、そもそも俺を狙ってのことか。



 だから急いでたのか?


 ソソ


 もしかして今回の騒動は、俺たちのせい…… なのか?


 ……


 なんか言ってくれよ!


 まさかの事実が発覚し俺の脳内はある意味パンク寸前だ。自分を弁明する言い訳や、自分は悪くないという理由をものすごい勢いで考え始めた。


 だが、その間も絶え間無く天使が押し寄せ思考を妨げる。小蝿のように鬱陶しく俺の周りに集るため言い訳を考えてる暇が無い。



 邪魔だ!!!


 周囲の天使を一薙でゴミに変えると、ふと遠くの方にウルたちの集落が見え、その上空に数体の天使も見える。



 事前に暗示をかけた剣を集落の方に向かわせてるのであれくらいなら難なく対処することが出来ると思うが、もし万が一ウルたちに被害が出たら……


 オイ、ナンカ、シカケテクルゾ


 悠長に考えていたら、こちらを見下ろす女神の口が開き、さっきと違う歌が聞こえる。


 周りで様子見してた天使が集まりだし群れを形成して大軍となって川の濁流のように押し寄せる。



 今更こんなもんで、止まるかよ!


 次から次へと壊れた蛇口のように天使が俺に雪崩れ込み、外から俺を見つけることは不可能なくらいだ。


 囲われているが、進むのには問題ないが、ちゃんとした足場が無いため天使たちをなんとか伝って行くしかなく、俺にとって天使は脆すぎる為踏み込むことも出来ない。



 このまま地道に距離を詰めるしかないか。


 するとまたもや女神の口が開き、また歌でも歌うのかと思ったら、突然耳を(つんざ)く不快な音を響かせる。


 そしてその音を聞いた天使たちの体が急激に膨張し膨れ上がっていく。その光景に嫌な予感が反復横跳びし始める。




 これは、まさか!?


 轟音と衝撃が圧倒的な破壊力となって広がり巨大なきのこ雲を作り出す。


 それを見下ろす女神の優しい表情が、いつの間にか歪んだ笑みを浮かべその面影は完全に消え去っていた。

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