第百十五話
ここっぽいな。
ダナ
ウルの願いを叶えるため、俺はジャングルの奥地へと足を踏み入れていた。
集落がある場所もかなりジャングルの奥の奥って感じだったが、ここはそれ以上だ。
相変わらず魔獣や魔物の類はその気配を感じさせないが、見た事ない植物が鬱蒼と生い茂り、その先に少しだけ見える建物への行手を阻む。
どうにも妙な感じだ。
今俺は生贄を捧げる台座の前に居るのだが、ここに来るまで道というか、誰かが通った跡、みたいなものが無かった。
ウルの話によるとここには定期的に生贄を捧げてるらしいので生き物が通った跡くらい出来てもいいと思うが、全くその気配は無く誰も足を踏み入れない新品なジャングル同然だ。
更に俺が後ろを振り返ると既に草木が伸びきり俺の通った跡は完全に消えていた。獣人たちが果物を大量に用意できるのはこのジャングルの特性が大いに関係してるらしい。
ここに来て少し難しくなった気がする。
この特性がジャングル自体が備えたものならまだいいが、これから行く建物の効果で更にそれを維持するには生贄が必要、みたいな感じだったらかなり面倒だ。
いや、ウルは俺が助けたから関係ないのか? どう思う?
サァ
まっそうだよな。
ウルを襲っていた奴は100%魔物だ、これは間違い無い。この台座にウルが乗ると建物の方からそいつがやって来たらしい。
でもなんで魔物が? 魔物は普通、自然発生の筈なんだけど。試しに俺が台座に乗ったらどうなるんだ? やってみていい?
オモシロソウ
よしじゃあ乗るか!
サイズの合わない台座に器用に乗り、何かが起きるのを待つ。
うーん、何も起きない。
ツマンナイ
期待してるような何かは起きず拍子抜けしたが、逆に何も起きなくてホッとした部分も少しある。
仕方ない、行くか。
これ以上待っても何も起きそうにないので、建物の方へ向かう。見えてきたのは錐の形に建造された、テレビなどでよく見るピラミッドのような建物だ。
あれほど大きくは無いが、それでも十分大きい。パッと見、七階建ての建物とそう変わらない。
正面、なのかわからないが目の前に入り口が一つ。他の三辺には入り口は無い。ブロックを積み上げただけのシンプルなものでは無く、階段や彫刻に模様と様々に装飾されていて、色もよく見る砂の色ではなく、青や緑が混ざった深い色をしている。
じっくり周りを観察したが、特に変わったところは無さそうだ。階段を登ってみるが上には何も無い。
やっぱ、中に入るしかないか。行かなきゃダメ?
ダメ、イケ
なんでそんな厳しいんだよ。ハァ……
何故か暗いところと縁があることに、最近かなり辟易している。仕方ない仕方ないと言い聞かせるが、何が仕方ないのかわからず、結局ため息が漏れる。
ハヤクイコ
わかったって。




