第百十一話
俺がリルや首無しお嬢を助けた時に思ったのは、意外と頭のいい人の予想は当たる物なんだと思った。
異世界探索を始めて40年、遺跡などの知的生命体の痕跡は見つかるが出会うことは叶わなかった。
そして一つの仮説が立てられた。
異世界人とも言える存在、文明は何らかの影響で既に絶滅してしまった、という説だ。
元の世界ではただの机上の空論。だが……
首なしお嬢やリルは奇跡的に免れていたが、首無し達の文明はあの怪物に滅ぼされている。
遺跡でもそうだ、どういう経緯かは知らないが民族少年は一度あの遺跡から半径数100キロの途轍も無い範囲を吹き飛ばして、自動修復する遺跡を残してそれ以外は何も残っていない。
二つとも違う文明で違う歴史を歩んでいるが共通してるのが、最後に滅んでしまっている事。
首無したちは突然現れた化け物に、民族少年は何かと戦って最終的に自文明と心中する形で。動機は違えど結果は同じ。
いや、もう一つ共通点があった。それは……
どちらも圧倒的な力を持った個の存在によって滅ぼされてるという事。
マナが齎す力の先…… 結末。俺の運命。
もしかしたら俺は……
・・・
オイ。
ん、あー、なんか言った?
メシキタ、ヘンナコトアト、ハヤククエ。
相棒は俺と感覚を共有してるが体の主導権は俺の為飯を味わう為には俺が食べなきゃ味わえない。
リルの屋敷での食事やソーダ味の木の実に今運ばれてくる料理に文字通りコイツは味を占めたわけだ。
最近の一番の楽しみと言っても過言じゃないくらいだ。
運ばれてきたのは何処かで見たことがあるような果物もあれば、奇妙な形の物まで様々だ。
俺がどれにしようか吟味していると、艶めかしい衣装を身に纏った俺が助けた獣人の女性が果物を俺の口元に差し出してくる。
外から見ると彼氏彼女、それも相当なバカップルが「あーん♡」とやっているみたいだ。
少し、いや。かなり恥ずかしいがせっかくの好意を無碍にするのも心が痛む。俺は仕方なく出された物を素直に食べる。
それがかなり嬉しかったのか「次は私が」「いいえ私が」と他の獣人の女性達と何やら口論になっている。
それにしても不気味なくらい好かれてるな、俺。
あの子も最初は俺の事を怖がってたけど気づいたら俺に懐いてたし、ここに来てからあの子が集落の人達に何か言うと、俺はこんな事になるし。
獣人達の慣わしか何かなのだろうか?
ウマイウマイ
コイツはずっと呑気だな…… アレ? ちょっと待って。
ここに運ばれる物は全部獣人達がとってきた物だ。これだけ広大でレベルも高いジャングルだ、マナの境界があっても十分暮らしていくだけの食糧は確保出来るだろう。現にこれだけの種類の果物があるからな。
でも、リルの屋敷で食べた物は?
俺の記憶が正しければ、屋敷の周囲は薄暗い森で生き物の気配は無い。だけどあれだけ豪華な料理は出てきた。
一体何処からあれだけの材料を集めたんだ?
俺、何食ったんだ?
得体の知れない悪寒がこの身に走る。
ベツニイダロ、シンデナイ。
いや良くねえよ。なんか俺って頑丈な割にスキルに弱すぎるんだよなぁ。




